料理研究家リュウジさん「きっかけは母につくったチキンソテー」苦手なものは……?
「料理のおにいさん」として大人気の料理研究家リュウジさん。2022年12月現在、「簡単・爆速レシピ」を日々発信するTwitterのフォロワーは約240万人、幅広くレシピを届けるYouTubeチャンネル「料理研究家リュウジのバズレシピ」の登録者数は、なんと約345万人。そして、SNS総フォロワー数は約750万人にのぼります。
そんなリュウジさんに、料理研究家でYouTuberというお仕事の魅力や、料理をはじめたきっかけとなったエピソードなどについて語ってもらいました。また、「お金の計算が苦手!」というリュウジさんに、第一生命社員が保険会社の視点から「生涯設計プラン」をご説明しました。
リュウジさんが考える、料理研究家と料理人の違いとは。
取材に伺ったのは「リュウジのバズレシピ」の収録スタジオ。都内マンションの1室で、広々としたリビングルームの一角に機能的にまとめられたキッチンがあり、動画視聴者にはおなじみのカウンターが鎮座しています。
「リュウジのバズレシピ」では週6本の動画を公開。ご本人に内容の紹介をお願いすると「酒飲みが料理つくるチャンネルです。それだけですね(笑)」とニヤリ。ですが、紹介されるレシピは、レストランに近い味を家庭で簡単に再現することのできる「至高」から、二日酔いで食欲ゼロでも即つくって食べられる「虚無」まで多岐にわたりつつ、誰もが取り組みやすいようシンプルにまとめられたものばかり。たとえば、こちらは「ピリ辛豚しらたき」。
レシピを抜き出しても3行程度でまとまる易しさ。
<ピリ辛豚しらたき>
フライパンにぬるま湯で洗って4等分に切ったしらたき200g、玉葱1/4個60g、豚バラ120g入れ、醤油小さじ4、白だし大さじ1、みりん大さじ1、味の素3振り、砂糖大さじ1、唐辛子1本入れ煮詰め完成。
白だしや味の素など、通常のレシピ紹介では見られない調味料遣いが目を引きます。ですが、「それこそが料理研究家らしさなんです」と、リュウジさん。
「たとえば出汁っていっても、お店や料理人によって違うし、使う昆布の出来によっても変わるので、“これが正解”という出汁はないと思うんです。プロの料理人は経験則にもとづいて常に同じ出汁をつくることができる技術を持っているから、100人のお客さんに対しても一切変わらず同じ味のおいしい料理を提供することができるんです。一方、料理研究家は、おいしい料理のつくり方を伝えるプロです。わかりやすく、かみ砕いたレシピをつくって、視聴者の皆さんに自分がおいしいと思う料理を同じように再現してもらうことが仕事なんです」
だから、つくる人の力量や経験によって仕上がりが変わることのないように、レシピは「白だし大さじ1」や「味の素3振り」と、わかりやすさを大事にしているのだそう。
「フランチャイズ店のやり方と似ていますね。そこにあるこれとこれをこれだけ合わせたらこの味になる、って。僕ね、たくさんの人に料理を楽しんでほしいんです」
「料理は趣味」だった!?
そんなリュウジさんですが、「大好きな料理だけど、苦痛になった経験がある」といいます。リュウジさんの料理の原点は、中学から高校時代につくっていたチキンソテーでした。母子家庭で、お母さんが病気がちだったため、必要に迫られて料理をはじめたところ、お母さんにチキンソテーを褒められたのだそう。
「“人に食べてもらう喜び”を感じて、自分の料理の腕を磨くことが楽しくなったんです。料理人こそ天職だって(笑)。それからいろいろなお店の味を研究して、好きなイタリア料理店で働きはじめたんですけど、今にして思えば、僕は、趣味を仕事にしちゃったのがよくなかったんですね。料理が趣味の僕は、毎日、いろいろなジャンルの自分のつくりたい料理をつくりたいんです。レストランで働いて仕事にして、毎日違うメニューを出せばいいんだけど、そんな自信もなくて……。それで料理人の道はすっぱりあきらめたんです」
それでも料理することはやめませんでした。高齢者向けケア付きマンションで正社員のコンシェルジュとして働きつつ、施設の食事をもっとおいしくできないかと自身で料理を提供するようになり、そのレシピをTwitterで公開しはじめたところから、料理研究家としてのリュウジさんが誕生しました。
こちらが当時バズった「大根の唐揚げ」のレシピ。フルタイムで会社員として働きながら、グルメライターとしてレシピの連載を持ち、少しずつ仕事も増えてきました。
「当時の僕の会社員としての年収が300万円ぐらい。料理の仕事が増えてきた2018年に初めてレシピ本が出版されたんですけど、これが結構売れて、会社の給料を超えたんですね。そこでようやく料理研究家専業になろうと思ったときに、親代わりだった叔父に反対されて。叔父も経営者だったんで、後ろ盾がないとキツいぞって。説得するのに1年ぐらいかかりました(笑)」
「僕の仕事はみんなにつくってもらえるレシピをつくることと、それをより多くの人たちに届けること。そのための方法論は、Twitterをはじめたときに、バズっている投稿を分析して身につけました。どんな言い回しが流行っていて、どういう表現をすればウケるのかを研究して、いやらしいほどに取り入れてきたんです。今でも打率8割でバズらせる自信があります(笑)」
レシピをバズらせることに力を入れるのは、自身が料理研究家として数々のメディアに触れていくなかで、おいしい料理をつくる料理人や料理の価値が低く見積もられすぎていると感じたからだといいます。
「だったら僕自身が何百万人に届ける力を身につけて、メディアになろうと思ったんです。僕は料理研究家としてテレビや雑誌にも出ますが、食品メーカーさんからオファーをいただいてレシピを制作し、動画を公開しています。なので、僕自身は、企業さんが広告を出す先としてテレビや雑誌との競合だと思ってるんです」
新しいレシピを考えることは楽しいとリュウジさん。なぜなら「料理は趣味。だから今でも息をするようにレシピが出てきます(笑)」。
「お金の計算が苦手」というリュウジさんに、「生涯設計プラン」をご説明しました。
YouTubeをスタートさせたのは、飲み仲間だった友人の助言で。2020年には法人化を果たし、企業案件や広報の担当者、熟練のスキルを持つ動画制作・編集担当者など、それぞれ役割を持った4人の従業員を抱える株式会社バズレシピの経営者となりました。そんなリュウジさんですが、実は「お金について考えることは苦手」だとか。
「大っ嫌いですね(笑)。もうとにかくめんどくさくって! だから、それをしてくれる仲間にも入ってもらっています」
第一生命では、お客さま1人ひとりの、お金の考え方や生活のスタイルにあわせて、人生の道しるべとなる「生涯設計プラン」をご用意することができます。今回は「お金の計算が苦手」というリュウジさんにぴったりのプランをご説明しました。
リュウジさんの収支、64歳の時点でマイナスに?
リュウジさんに「生涯設計プラン」をご説明したのは、第一生命社員・古舘愛。事前にリュウジさんからデータをいただき、フリーランスの料理研究家という想定でプランを作成しました。
それがこちら。
※フリーランスの一般的な試算条件として月収29.5万円、生活費15.6万円、住居費10万円、金融資産188万円で算出しています。リュウジさんの実際の収入や支出ではありません。
こちらは、今の月収と、仕事を辞める年齢、月々の生活費やローン、貯蓄額などから算出したものです。ちなみに、記載されている数字はフリーランスで働いている方の一般的な月収や生活費にもとづいた試算結果となります。
古舘「リュウジさんは経営者ですが、料理研究家でYouTuberという立場に近い、フリーランスで働いている方の条件をもとに試算しました」
古舘「フリーランスの方の一般的な試算条件と、現在36歳のリュウジさんを照らし合わせると、これから64歳までで得られる賃金は1億266万円となります。そこから生活費と住居費、税金・社会保険料などを引いていくと、64歳の段階で収支はこの数字になります」
リュウジさん「-974万円! え、マイナスになるんですか?」
一般的にフリーランスには退職金というものがありません。とすると、今の収入を維持しながら36歳から国民年金受給開始直前の64歳まで働いたとしても、お金は足りなくなってしまいます。
古舘「リュウジさんは経営者ですが、退職金がないという点で、フリーランスと立場が似ています。ですから、この不足を埋めるために今から備えておいたほうがいいと思います」
リュウジさん「なるほど、これはバズる前の僕のリアルかもしれませんね。当時年収300万円ぐらいで、この試算よりも低かったですから」
リュウジさんに本当に必要な未来のための準備とは?
実際にはリュウジさんは経営者である一方で、YouTuberかつ料理研究家という特殊な職業ゆえ、税理士からは生活費の算出の仕方が非常に特殊であると聞かされているとか。
リュウジさん「たとえば、食費。料理研究家の場合、レシピ開発が仕事の中心となるので、自分で調理するための材料費はもちろん、新しい情報を得るための外食費も経費に計上されるんです。調理にかかる光熱費も同様です。また、YouTuberとして動画に出演しているので、僕の衣装も経費、料理をリサーチするための地方への旅費も経費。税理士さんによると、全部経費として会社の支出になるらしいんです。だから僕個人が実際に支払っている生活費は限りなくゼロに近いんですよ」
さらにリュウジさんの実際の貯蓄額と月収でシミュレーションしてみると、「税金・社会保険料」の支出項目が増える結果に。
リュウジさん「税理士さんからも何とかしたほうがいいって言われるんですが、よくわからないしめんどくさくて……。そこで頭を悩ませるなら、そのぶん稼いだほうがいいや! って思っちゃうんですよね」
リュウジさん自身、仕事をしていくなかで唯一がんばらなければと思っているのは、社員の皆さんの生活を保障することだといいます。
古舘「今のようにお仕事を精力的に続けられるあいだはいいんですが、仮に体調を崩して倒れてしまったりすると収入も途絶えてしまいかねません。第一生命の生涯設計プランでは『資産をつくる』だけでなく『所得を守る』『費用に備える』というご提案もできます。人生100年時代へ向けて、私どもでリュウジさんのお力になれるのは、『つくる』ことより、『守る』『備える』という点かもしれませんね」
リュウジさん「これまで、こんなこと考えてこなかったけど、実際に生涯設計プランを見せてもらって意外にお金が足りないことになるんだなと、びっくりしました。今後の人生でも好きな仕事を続けていくために、もうちょっとお金のことについて考えようって思うきっかけになりました。……まあ、100年まではいかないと思うけど(笑)」
おまけ:リュウジさんの10秒レシピ紹介!
ところで、インタビューの最後に取材班からこんなお願いをしてみました。
「料理が全然得意じゃないんですけど、10秒ぐらいでできるレシピってありますか?」
「10秒ですか(笑)。わかりました」
こうして特別に教えていただいたレシピがこちらです。
<豆腐ラー油丼>
絹豆腐150g(木綿でも可能)に白だし大さじ1を加え、スプーンでよく混ぜてごはん200gにかけ、卵黄1個をのせて小ネギを散らし、ラー油をかければ完成。
超簡単なこちらのメニュー、皆さんもぜひお試しください!
取材・文/武田篤典(steam) 写真/黒坂明美(STUH)
リュウジ
1986年、千葉県出身。料理研究家/株式会社バズレシピ代表取締役。2017年より料理研究家として活動を開始、簡単に誰もがつくれるレシピを考案し、バズらせてきた、一般への料理普及の第一人者。SNSの総フォロワー数は750万人以上。趣味は料理とゲーム。
※この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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