同棲中、お金の管理方法はどうする?まず決めることや管理のコツをFPが解説。
同棲中のカップルが円満に過ごすためには、家事分担などだけでなく、お金の管理方法について決めておくことも大切です。夫婦ほどは関係性が定まっていない2人であっても、日々の生活や将来のために、支出や貯蓄などのルールは明確にしておきたいところ。同棲カップルの相談も数多く受けているファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、同棲中のお金の管理のコツについて解説していただきました。
目次
同棲中の金銭トラブルあるある。
「籍を入れる前に準備期間として一緒に暮らしたい」「家賃や生活費を節約したい」など、さまざまなきっかけから同棲をはじめるカップルは少なくありません。ただし、一緒に生活するうえでのルールを決めておかないと、不満がたまって喧嘩になることも。お金のことも例外ではなく、次のような金銭トラブルが起こる可能性もあるので注意が必要です。
どちらかに家計の負担が偏っている。
同棲生活に必要なお金に関して、どちらかに負担が偏り、それがトラブルやストレスになることがあります。「自分の収入に依存して、相手がお金を入れてくれない」「住んでいる家が自分の名義だからと、水道・光熱費や家賃を自分が全部支払っていて負担が重い」といったケースがあります。
金銭感覚が合わない。
お金にルーズで無駄遣いが多い、思っていたよりもお金に細かくて息がつまる、家具はいいものを購入したいのに「高すぎる」と許可してくれない、生活費は割り勘なのに相手が予算を考えず生活用品にお金を使いイライラする……。一緒に暮らしているからこそ見えてくる金銭感覚の違いがあります。
どちらかしか貯蓄をしていない。
結婚を前提に同棲をスタートした場合、お互いの給料の一部や、同棲生活で節約したぶんのお金を結婚資金として積み立てるカップルもいます。しかし、2人のうちどちらかに「貯蓄しよう」という意識が欠けていると、「自分しか頑張っていなくて不公平だ」と片方が感じてトラブルのもとになりがちです。
貯蓄に勝手に手をつけられた。
お金の管理方法をあいまいにしておくと、2人でためていた貯蓄をいつの間にか相手に勝手に使われていた……というトラブルも珍しくありません。同棲を解消したあとで「共同で使う生活費用の口座から、お金を全部引き出されていた」といったケースもあります。そういった可能性を考えるのは心が痛むことですが、もしものときのためにしっかり管理しておくことが大切です。
まずは2人のお金を「しくみ化」しよう。
同棲生活で発生しがちな金銭トラブルを防ぎ、仲よく暮らしていくためにも、できるだけ「もめごとが起きないしくみづくり」をすることが大事です。まずは「生活費」「個人的な支出」「貯蓄」の3つを「しくみ化」していきましょう。家計管理のベースにもなるので、将来結婚することになったときにはスムーズに移行できて安心です。
生活費
生活費はシンプルに、1か月単位で精算するしくみにすることをおすすめします。家賃や水道・光熱費、食費などの生活費が、1か月あたりどのくらいかかったかを計算し、給料日後や月末に割り勘で精算するようにします。2人の間に収入差がある場合は、負担する金額を6:4や7:3にするなど、比率を話し合いで決めておいてもよいでしょう。
また、「家賃などの固定費は自分、食費や生活雑貨などの変動費は相手」といったように支払う担当を分けるカップルもいます。各々やりやすい形で精算のしくみを決めましょう。
個人的な支出
スマートフォンの通信費や被服費、友達と遊びに行ったときの娯楽費や飲食費などの個人的な支出は、それぞれの支出として個別に管理しましょう。生活費を取り分けたうえで、それぞれの支出はそれぞれの責任で賄うようにすれば、相手のお金の使い方にモヤモヤすることもなくなりそうです。
貯蓄
「相手が勝手に2人の貯蓄を使ってしまった」というトラブルを防ぐため、貯蓄はそれぞれの名義で個別に積み立てていくことをおすすめします。たとえば結婚資金をためたい場合は、それぞれが結婚資金用の口座をつくり、一定額を毎月積み立てていき、定期的に貯蓄残高を確認し合う形がいちばんわかりやすいでしょう。なお、近い将来使うことが前提になるお金は、引き出すタイミングが難しい投資商品よりも、給与振込口座を利用した自動積立預金や財形貯蓄などで備えるのがおすすめです。
ただ、共同口座にしたほうがモチベーションが上がるというカップルもいるでしょう。その場合は、どちらかの名義で貯蓄用口座をつくり、毎月2人でためていく形にしましょう。2人の口座である以上、勝手に引き出さないというルールを設けることが大切です。
同棲中のお金の管理のコツ。
同棲中、お金の管理がスムーズになるポイントを紹介します。
ルールの明確化と定期的な話し合い。
ルール決めは一見大変ですが、一度決めておくとその後トラブルになりにくく、かえって楽になります。たとえば2人で出かけたときの出費は、生活費として出すのか、各自のお小遣いとして出すのか、月々の生活費にかかわるのでルール化しておきましょう。お金のことはなかなか切り出しにくいものですが、「お金は喧嘩のもとになりやすいらしいから、いろいろ決めておきたいね」と切り出せば、気まずい思いをせず話し合えそうです。
また、月1回の精算の際には、今後予定している大きな買い物の予算や、現在の貯蓄額、お互いのお金の使い方など、いろいろなことを話す機会にしましょう。2人が暮らしていくうえで大事なことですので、わだかまりなく話し合える場を定期的に設けることが大切です。
クレジットカードの活用。
同棲カップルはいわゆる「家族カード」を、原則としてつくれません。そのため、個別にカードを管理して使うことになります。電気代や水道・光熱費などの固定費、生活費用の支出をするカードをあらかじめ決めておき、入出金の明細でしっかり把握できるようにしておきましょう。
家計簿アプリの活用。
収支の見える化をするためにも、「家計簿アプリ」を上手に活用しましょう。アプリはアカウントを共有したり、個人的な支出以外はお互いに閲覧できるカップル向けアプリをダウンロードしたりして、2人で使えるようにしておきます。
銀行口座やクレジットカードなどと家計簿アプリを連携すれば、いちいち家計簿をつけなくても収支を簡単に管理できて毎月の精算が楽になりますし、貯蓄額も確認できます。家計簿アプリに連携できない現金払いなどの支出は、生活費のぶんだけでも、その都度手動で入力しておきましょう。
スマートフォン決済の活用法。
QRコードやバーコードによるスマートフォン決済は、ポイント・割引などの特典があったり、会計がスムーズになったりすることから、近年利用者が増えています。また、送金機能もあり、お出かけ先での割り勘や毎月の精算時に取り入れるのに、とても便利です。
なお、スマートフォン決済では、「どこでいくら何に使ったのか」という支払いの履歴が残ります。注意点として、この履歴は家計簿アプリに連携できないことが多々あるので、管理に工夫が必要です。スマートフォン決済がブラックボックス化しないよう、チャージ額を家計簿アプリで管理したり、使用履歴をこまめにチェックして無駄遣いしていないかを振り返ったりしましょう。
【まとめ】お金を上手に管理して楽しい同棲生活を。
同棲生活では、やはりお金について最初にしっかりと話し合っておくことが何よりも大事です。病気やケガなどもしものことがあったときにも、お金の管理や貯蓄を万全にしておくことが日々の生活の支えになります。上手な家計管理で、お互いに思いやりのある楽しい同棲生活を送りましょう。
写真/PIXTA イラスト/こつじゆい
氏家 祥美
FP事務所ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー、セカンドキャリアアドバイザー。旅行会社、FP会社で働いた後、2010年に現在の事務所を開業。金融リテラシーの普及に努め、高校の家庭科の教科書では経済パートの執筆も行う。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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