育休中に仕事の心配をする中村さん。 育休を取った先輩パパが後輩パパに伝えたい、育休の“落とし穴”とは?

育休を取った先輩パパが後輩パパに伝えたい、育休の“落とし穴”とは?

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子どもが生まれたら育休を取りたいと考えている男性にとって、気になるのが、育休中の暮らし。「自分は何をしたらいいの?」「どんなことが大変なの?」と不安になることも多いでしょう。

今回、30代後半で第一子が誕生し育休を取得した中村さん(仮名)に、育休後の本音をお話ししてもらいました。想像していなかった、思わぬ落とし穴もあった様子……! 試行錯誤しながら過ごす育休はどんな時間だったのでしょうか? 参考になりますよ!

目次

中村さんは、なぜ育休を取得したの?

中村さんのプロフィール

──初めてのお子さんの誕生を機に育休を取得した中村さん。育休が明けて数か月と伺いました。まずは、なぜ育休を取ろうと思ったのか教えてください。

育児の大変さはあちこちで聞いていて、それを妻だけに任せるのは違うでしょ、と思っていたので。迷うことなく育休は取ると決めました。妻には、「いつ取ればいいかな?」と時期だけ相談しました。

取得時期を出産予定日から3か月にしたのは、育休を取った社内の先輩パパから、「父親も出産直後から子育てに加わったほうがいい」と助言をもらったのが大きかったですね。

1週間遅れるだけで育児スキルに差が出て、妻が僕に育児の方法を教えることになり、それがお互いのイライラにつながってしまうと。だから、妻が出産を終えて退院したときには、僕も育休に入っているようにしました。

──なるほど。育児スキル習得のタイミングが時期選定のポイントだったのですね。ちなみに、家事のスキルはどうだったのでしょう。夫婦2人暮らしのころ、家事分担はどうしていましたか?

お互い得意な家事を担当していて、割合はほぼ半々でした。僕は1人暮らしの経験があって、特に料理やキッチンまわりの家事が好きなんです。苦手なのは掃除。汚れを見落として、妻に「まだ汚れてるよ」と指摘されることも(笑)。

──得手不得手は誰にでもありますよね(笑)。ところで、育休に入る前に不安だったことはありますか?

不安しかなかったですね(笑)。それは妻も同じでした。出産間近になると、みんなに「おめでとうございます!」「楽しみですね」と言っていただきましたが、感謝する一方で、とまどいも感じました。

出産・子育てを控え不安な様子の中村さん。

赤ちゃんは無事に生まれるのか、新生児をちゃんと育てられるのか。子どもを育てるという“未知なこと”に対する不安が大きかったです。

こんなことに気をつけたい!育休中の落とし穴。

──育休生活では、うれしかったこと、大変だったこと、想定外だったことなどいろいろあったと思います。特に記憶に残っている出来事を教えてください。

僕は父親になってまだ6か月で、今も試行錯誤しているので……。将来、子育てを終えてから、ようやく「これは大変なこと。これはこうしたらいい」といったアドバイスができるようになると思います。

ですから、今何かをお伝えするのはおこがましいのですが、反省点がいくつかあるので、それをお話ししたいと思います。

私の落とし穴1:完璧な家事を目指してがんばりすぎてしまった。

完璧に家事をこなそうとする中村さん。

大きな反省点の1つが、「自分自身が家事育児を完璧にこなそうとしすぎた結果、僕も妻もイライラしてしまった」ことでしょうか。

──いきなり“完璧”はハードルが高そうですね。なぜ、完璧を目指したのですか?

自分の両親から、「母親は産後1か月間、水を触ってはいけない」という言い伝えを聞いたことがきっかけですね。産後、女性の体は弱っているので、炊事・洗濯などの家事をさせてはいけないという意味です。

それで「1か月間、妻に水を触らせないチャレンジ」をやろうと決心して。それに、授乳とか母親じゃないとできないことは絶対にあるから、家事などの僕でもできることは僕がやろうっていう思いもありました。

ミルクの準備・オムツ替え・沐浴・寝かしつけなどの育児に関しては、夫婦で協力してやりました。

──1か月間のチャレンジはどうでしたか?

チャレンジは成功しましたよ。目標があると「やってやる!」となる性格で、炊事・洗濯・片づけに関しては、おおよそ1人でやれたと思います。ただ、ついついがんばりすぎちゃいましたね……。

2か月目に入ったら緊張の糸が切れたのか、日中に強烈な眠気に襲われて寝てしまったり、イライラしやすくなったりしました。

──育休パパとして完璧を求めるがゆえに陥った「落とし穴」でしたね。

はい。妻にも、「いろいろやってくれてありがたいけれど、助けてほしいときに寝ていられるほうが困る」と言われてしまいました。僕が寝ていると、妻1人で赤ちゃんを見ることになるので、体力面でも気持ちの面でも負担が増えてしまいます。

また、僕も気持ちの余裕がなかったから、ときおり不機嫌な態度だったし。そんな状況だと、妻もイライラしてしまいますよね。

──その状態をどう乗り越えたのでしょうか?

ある日、妻に「そこまで求めてない」と言われて、ハッと気づきました。毎食違うメニューをつくる、毎日洗濯をする、育児も極力やるっていうのは自分の欲なんじゃないかと。

ゲームでいうところの「レベルアップしたい」という気持ちです。でも、それが原因で体力がもたなくなったり、お互いにイライラしたり、夫婦ですれ違いが生じたりしたら意味がないですよね。

妻や子どものためにやったつもりが、実は自分のためだったということは、家事育児に限らずあると思います。多少手を抜いても、夫婦で機嫌よくいられるほうがずっと大事です。

私の落とし穴2:コミュニケーションを怠ったせいで、お互いイラッと。

──ほかにも、これは落とし穴だったと思うことはありますか?

言葉のコミュニケーションが不足したゆえに、妻とぶつかったケースです。

中村さん夫婦のすれ違い事例。

たとえば、僕は朝食で使った食器や哺乳瓶を、昼食で使う食器とまとめて洗おうと考えて動いていたのに、妻が先に朝食分だけ食洗機にかけてしまって。「2回分まとめれば節約もできて効率的なのに!」とイライラしてしまうとか。

──すると奥さんも「そんなの別にいいじゃない。それなら早く言ってよ」となりそうですね。

そうですよね。育休中はずっと一緒にいるからか、これまでなんてことなかった小さなすれ違いでも、お互いイラッとしてしまいがちです。僕は仕事でも家事でも、まず段取りを考えて進めるタイプなので、それが崩れるのが嫌ですし……。

──夫婦の家事分担でありがちなケースかもしれません。このありがちな“落とし穴”を回避するためにどうしたのでしょうか?

男性は女性と比べ、会話やコミュニケーションの量が少ない傾向にあると思います。でも、家事育児は共同作業だから、声掛けが大事。そこに気づいてから、「食洗機は昼食後に回そう」とか「今日はこういうスケジュールで過ごそうと思っている」など、小さなコミュニケーションを意識するようにしました。

今も努力中ですが、以前よりささいなケンカは減ったと思います。「これから〇〇をしようとしている」ということから、まめに伝えたほうがいいですね。

私の落とし穴3:「仕事は大丈夫だろうか?」と不安な気持ちになった。

──仕事から一定期間離れることに不安を感じる人も多いと思います。中村さんはどうでしたか?

育休2か月目に入ると、少し余裕が出てきました。すると、だんだん仕事のことが心配になってきたんですよ。

仕事のことを心配する中村さん。

──育休中は、会社の人と連絡をとったりしましたか?

いえ、社内チャットのアカウントは停止されましたし、メールチェックもしなかったです。会社の誰ともやり取りしませんでした。

会社の状況がわからないこともあり、「仕事はちゃんと回っているだろうか?」と思う半面、「自分がいなくても仕事が回るなら、自分は必要なのか?」とも考えてしまい、結局、何か行動しないとすごく不安で勉強をはじめましたね。

妻に「1週間だけ、空いた時間に勉強してもいい?」と相談して、データ解析のWeb講座を受講しました。不安が消えたわけではなかったけれど、「復帰したらこれをやるぞ!」という活力にはなりました。

──実際に仕事に復帰してどうでしたか?

戻った直後は、同僚に「中村がいたほうがいいな」と思われたくて、焦りや力みがあったかもしれません。

でも、自分のキャパシティーを超えそうなとき、上長に「大丈夫。ゆっくりやればいいから」と声を掛けてもらって、力が抜けました。復帰して約3か月がたちましたが、育休前と変わらずに働けていますし、家事育児もできています。

育休パパが目指すべきは、家事や育児の完璧度ではなく「妻の幸福度」。

中村さん夫婦。

──中村さんが育休生活のなかで学んだ、大切なことを教えてください。

育休パパのゴールは、家事や育児の完璧度ではなく、“妻の幸福度”に置くべきだと思います。

僕のように自分の思いだけで突き進むと、妻の思いとズレてしまう。妻は何をしてほしいのか、何をしたらうまく回るのかをすり合わせる必要もあるかもしれません。

──そのためにもコミュニケーションが大事になりますね。

はい。加えて、妻の気持ちに寄り添って、共感することや一緒に考えることが何より大切だと思います。「赤ちゃんの泣き方がいつもと違う」「ずっと同じ向きで寝ている」など、初めての育児はわからないことの連続です。常に不安が絶えません。

そのとき、ただ「大丈夫だよ」と伝えるのではなく、「心配だよね。じゃあ一緒に調べてみよう」と寄り添う気持ちをもちたいですね。大丈夫だよって一方的に伝えても、妻自身の不安が解消されなければ意味ないですから。

──最後に、後輩パパたちへメッセージをお願いします。

知らないことは当然不安です。世の中には「育児は大変だ」「子育てにはお金がかかる」という情報もあふれています。実は、以前は僕も子どもをもつことに少し後ろ向きでした。

でも、子どものいる生活になったら、楽しいことや幸せを感じることがたくさんあります。育休生活もそんな時間の連続です。だから、「育休も子育てもめっちゃいいよ!!」って子どもをもとうか迷っている人に伝えたいですね。

今は僕1人で赤ちゃんを見ていられるので、妻が外出することもできます。リフレッシュの時間は大事ですから。育休経験がなかったら、自信をもって「僕が見ているから、でかけていいよ」と言えなかったかもしれません。それが言えるようになっただけでも、育休を取得した意味があったと思います。

パパも取得できる育休制度について知っておこう。

先輩パパの体験談、いかがでしたか? 育休を取得する際は、育休の不安を少しでも減らせるよう、社内の制度だけでなく公的な制度も確認して、有意義な育休期間を過ごしましょう。

男性の育休取得推進のため改正された育児・介護休業法により、子どもが生まれて8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる「出生時育児休業(通称:産後パパ育休)」制度が設けられました。同改正によって、1歳までの育休も2回まで分割して取得できるようになっています。

参考:厚生労働省「育児休業制度 特設サイト」

なお、それぞれの育休で給付金が支給されます。子育ての給付金に関しては、以下のリンク先記事も参考にしてくださいね。

イラスト/腹肉ツヤ子

※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。 
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