

実家暮らしの貯金の目安は?平均額から楽に貯めるコツまで解説。
社会人になったばかりの20代はお金の貯めどきと言われています。特に実家暮らしの人は家賃や光熱費といったお金がかからないぶん、1人暮らしの人よりもお金は貯めやすいと言えるでしょう。
しかし、明確な意思とやる気がなければお金はなかなか貯まらないもの。「将来困らないように、今のうちに貯金しておきたい」とは思いつつも、実はほとんど貯金できていないという人もいるのではないでしょうか。
そこで、簡単で続けやすい貯金の方法を知って、お金を貯めたい実家暮らしの人たちに向けた、具体的な貯金額の目安や手軽に楽しく取り組める貯金の方法を、お金の専門家である横川楓先生に伺いました。さっそく今日から試してみてください!
目次
- 20代社会人の平均貯金額は?手取り収入の何割貯金すればいい?
- 実家暮らしの今こそ、貯金のベストタイミング!
- 【まずはここから】遊び感覚ではじめられる貯金法。
- 【しっかりやりたい人向け】貯金のはじめ方、一から解説!
- まずはできる範囲で貯金してみよう。
20代社会人の平均貯金額は?手取り収入の何割貯金すればいい?

20代社会人の平均年収は、20歳~24歳が273万円、25歳~29歳が389万円。20代の年間手取り収入からの貯蓄割合は18%となっています。また、20代の金融資産保有額の平均値は121万円でした(金融資産を保有していない世帯を含む)。
なお、1人暮らしをしている34歳以下の1か月あたりの平均支出額は約17万円。うち食費は約3万9,000円、水道光熱費は約1万円、家賃は約3万5,000円でした。このデータをもとに考えると実家暮らしの人は、1人暮らしの人に比べて1か月あたり食費・水道光熱費・家賃ぶんの約8万4,000円が浮くことになります。
これを1年あたりで換算すると、なんと約100万円ものお金が浮く計算になります! いかに実家暮らしの時期が貯金に最適なタイミングか、おわかりいただけたのではないでしょうか。
1人暮らし世帯の1か月あたりの支出内訳
項目 | 平均支出額 |
食費 | 3万8,668円 |
住居 | 3万5,130円 |
水道・光熱 | 9,821円 |
家具・家事用品 | 4,224円 |
被服・履き物 | 5,676円 |
保険医療 | 4,680円 |
交通・通信 | 2万1,646円 |
教養娯楽 | 2万3,297円 |
その他の消費支出 | 2万4,222円 |
合計 | 16万7,364円 |
こうした状況を踏まえ、横川先生は実家暮らしの20代社会人の貯金額の目安について、次のようにアドバイスします。
「手取り収入のうち毎月最低でも1割、可能ならば2割は貯金することをおすすめします。また、実家の経済状況にもよりますが、1人暮らしの人の家賃に相当する金額程度は実家に入れられるといいですね」
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
実家暮らしの今こそ、貯金のベストタイミング!

実家暮らしの人のなかには、1人暮らしの人に比べて出費が少ないぶん、節約や貯金への意識が低くなっている人もいるかもしれません。
「実家暮らしの人も、いずれは多くの人が家を出て、新たな生活をはじめると思います。お金が少し浮いている今のうちに貯められるのは、実家暮らしならではの大きなメリットです」(横川先生)
貯金のモチベーションを上げる方法。
とはいえ、20代のうちは、「将来のため」という漠然とした理由だけでは計画的な貯金が億劫になるのも事実。貯金へのモチベーションを上げるには、どうすればよいのでしょうか。
「どうしてもやりたいことや欲しいものができたときのために、今のうちに自由に使えるお金を用意しておくという考えのほうが、モチベーションが上がりやすいはず。パソコンやカバン、服や旅行など、『これが欲しい』『これがやりたい』と思ったときに使えるお金がないと、今しか手に入れられないものや体験を手放すことになってしまいます。
まとまったお金を用意しておけば、そういった機会を逃すことがないため、より充実した20代を過ごせるはずです」(横川先生)
【まずはここから】遊び感覚ではじめられる貯金法。

貯金の重要性はわかったけれど、「いつも三日坊主で終わってしまう」「労力をかけず、楽に貯金したい」と思っている人もいるはず。そんな人でも、気軽にはじめられて、楽しく続けられる貯金の方法を横川先生に教えてもらいました。
「つもり貯金」や「歩数貯金」など、ルールを決めて楽しく貯金。
ルールを決めて貯金をすると、ゲームのように楽しく取り組めます。たとえば、行きたかったけれどスケジュールが合わずに諦めたコンサートに、行ったつもりになって貯金する「つもり貯金」や、1日の歩数ぶんの金額を貯金する「歩数貯金」などが代表的です。
「私は“推し”に使うためのお金を貯める『推し貯金』をしています。『つもり貯金』の一種ですが、イベントに行けなかったり、グッズを買えなかったりしたときに、そこに使う予定だった金額をそのまま貯金しています。推しのためだと考えれば、モチベーションも持続しやすいのでおすすめです」(横川先生)
また、実家暮らしの方であれば、1人暮らしの場合に家賃や光熱費に相当する金額を「払ったつもり」で貯金をしておくのもよいかもしれません。
アプリなどの便利ツールで貯金。
貯金用の口座にお金を振り込んだり、小銭を貯金箱に入れるといった方法は面倒で続かないという人は、デジタルツールを利用して貯金を自動化してしまいましょう。
「最近では銀行口座やクレジットカードと連携して、貯金をしくみ化できる便利なアプリがあります。『会社の最寄り駅に着いたら500円』『間食を我慢できたら500円』というように自分が決めた目標を達成したり、推しがテレビに出演したりしたら、貯金用の口座にお金が移動するというものです。
ぜひ、ご自身が楽しみながら長く続けられそうな方法やアプリを探してみてください」(横川先生)
【しっかりやりたい人向け】貯金のはじめ方、一から解説!

しっかり堅実に貯金したい人に向けて、基本的な貯金のはじめ方についても横川先生に解説してもらいました。
貯金のための3ステップ。
貯金するための流れは、以下の3ステップです。
ステップ1:まずは自分の支出を把握する。
自分が毎月いくら使っているかわからないと、そもそも貯金に回せる金額を把握することはできません。まずは3か月ほど家計簿をつけてみて、自分が毎月どのくらいお金を使っているのか、お金がどのくらい余るのかを把握します。
「キャッシュレス決済やクレジットカードと連携できる家計簿アプリは、手間が省けて使いやすいのでおすすめです」(横川先生)
ステップ2:貯められそうな金額を決める。
自分が毎月どのくらいお金を使っているのか把握できたら「これくらいだったら毎月貯められそう」という、無理のない目標金額を決めましょう。
「使えるお金や余るお金が毎月変動するという人は、毎月の目標金額をはじめは低めに設定しておきましょう。そのうえで、毎月余ったお金はすべて貯金するようにして、万が一足りなくなったらそのつど引き出すという柔軟な形のほうが続けやすいですよ」(横川先生)
ステップ3:自分の決めた方法で貯金を開始する。
目標金額を決めたら、いよいよ貯金生活スタート。そのつど銀行口座に入れるのか、期間を決めて預け入れる定期預金を利用するのか、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの資産運用に回すのか……。自分が続けやすいと思う方法を決めてやってみましょう。
「お金の防災袋として、急な病気やけがなどにも対応できるように、生活費のおよそ3か月分が口座にある状態をまずはつくることが大切。そのうえで、投資をスタートするようにしましょう。
私が20代の人におすすめするのはNISA。月100円からスタートできて、いつでもやめられますし、すぐに売却して現金化もできます(※)。積立投資であれば手間もかかりません。初心者でもはじめやすいのがポイントです」(横川先生)
※ 売却のタイミングによっては元本割れする可能性あり
まずはできる範囲で貯金してみよう。
将来はもちろん、今しかできないことや手に入らないもののチャンスを逃して後悔しないためにも、貯金しやすい実家暮らしの期間を有効活用したいもの。
まずは自分のお金の流れを把握して、少額からでもいいので貯金をはじめてみましょう。貯金が苦手な人は、自分に合った貯金ができるツールを探してみてください。そのお金が、きっと将来のあなたを助けてくれるはずです。
写真/PIXTA イラスト/オオカミタホ
【監修者】横川 楓
経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に取り組んでいる。一般社団法人日本金融教育推進協会代表理事。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
※ 掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。
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