体にいい飲み物13選!気になる体の悩み別に管理栄養士が解説。
「忙しい毎日で近ごろ少々疲れ気味。睡眠不足や肌荒れも気になりはじめて……。運動は続かないし、忙しくても簡単に取り入れられるもの、ないかなぁ」
世の中にはいろいろな健康法があふれていますが、なかなか続かないのも悩みの種。そんな方のために、すぐはじめられて、体のお悩み解消につながる飲み物を管理栄養士の北嶋佳奈さんに取材。飲み方のコツや“栄養のプロ”がはまった飲み物も教えていただきました。
目次
- 体にいい飲み物とは?
- 疲れを軽くしたい。
- 肌荒れを改善したい。
- むくみと便秘を改善したい。
- ぐっすり眠りたい。
- 集中したい。
- 体にいい飲み物を取り入れるうえでのアドバイス。
- 【まとめ】体にいい飲み物は補助的なもの。うまく生活に取り入れて。
体にいい飲み物とは?

体に必要な栄養は食べ物からとるのが基本ですが、飲み物の中にも、含まれる成分が体調改善につながるものがあります。
私が考える体にいい飲み物とは、食事でとり切れない栄養を補えるものです。不調を感じている状態がマイナスだとしたら、食事と一緒にとることで、それをゼロに近づけるように手助けしてくれるものだと考えています。飲み物は食べ物に比べて手軽に栄養を摂取しやすく、吸収されやすいというメリットもあります。
実際に、どんなときにどんな飲み物を飲めば不調を緩和しやすいのか、見ていきましょう。
疲れを軽くしたい。
「疲れ」といってもその原因はさまざまで、
・体をハードに動かしたため
・栄養不足・エネルギー切れ
・体内のミネラルバランスの乱れ
・酸化ストレスによる細胞の老化
などが考えられます。
ここでは、自分では気づきにくい「体内のミネラルバランスの乱れ」と、「酸化ストレスによる細胞の老化」が原因の疲労に対してアプローチできるものを紹介します。

麦茶
5大栄養素の1つ「ミネラル」には、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄などがあります。それぞれのミネラルがお互いの働きを助けながら代謝を行っているので、それぞれ適正量を保つ必要があります。その適正量を保てなくなる状態が、ミネラルバランスの乱れです。
特に夏などは、汗をかくことでナトリウムやカリウムなどが失われて体内のミネラルバランスが乱れ、疲労を感じることがあります。
麦茶はミネラルを含むので、ミネラルバランスの乱れからくる疲労感にはおすすめです。
| 含まれる栄養素・成分 | ミネラル(マグネシウム、カルシウム) など |
| 栄養素・成分の働き | 体調を整える |
| おすすめのとり方 | 食事と一緒に、また水分補給としていつでも |
参考:農林水産省「食事バランスガイドと従来の分類法との関連」
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」第2章
そば茶
私たちの体は酸素を使ってエネルギーを生み出していますが、そのとき、副産物として「活性酸素」も作り出しています。活性酸素が細胞を酸化させて傷つけることで、老化が進んだり、病気の原因になったり、疲労の原因になったりします。この活性酸素を無害化する働きがある成分の1つに、ポリフェノールがあります。
そば茶には「ルチン」が含まれています。ルチンはポリフェノールの1種で、強い抗酸化作用があり、細胞の酸化を防ぎ、疲れにくい体をつくるのに役立つと考えられています。
| 含まれる栄養素・成分 | ルチン など |
| 栄養素・成分の働き | 抗酸化作用による疲れにくい体づくり |
| おすすめのとり方 | 食事と一緒に、また水分補給としていつでも |
緑茶
緑茶に含まれるポリフェノールの1種「カテキン」には強い抗酸化作用があり、細胞の酸化を防ぐと言われています。興奮作用があるカフェインも含むので、集中したいときにもおすすめです。
ただ、緑茶は鉄分の吸収を妨げることがあります。貧血気味の方は食事中に緑茶を飲むのは控えたほうがいいかもしれません。
| 含まれる栄養素・成分 | カテキン など |
| 栄養素・成分の働き | 抗酸化作用による疲れにくい体づくり |
| おすすめのとり方 | いつでも好きなタイミングで ※ ただしカフェインを含むのでカフェインに敏感な方は寝る前などは避ける |
肌荒れを改善したい。
肌荒れの症状も原因がさまざまで、飲むだけですべての肌の悩みを解消する飲み物はありません。でも肌にしっかり栄養と水分が届くよう、サポートをしてくれる飲み物はあります。

白湯
「水分補給」と「血行促進」という点で、特に朝、「起きたての1杯の白湯(さゆ)」はおすすめです。就寝中は、コップ1杯分の汗をかくと言われています。体の水分量が満たされれば肌の乾燥予防につながりますし、体があたたまって血行がよくなれば、体のすみずみに栄養が行きわたります。
| 白湯の働き | 水分補給、血行促進による肌荒れの改善 |
| おすすめのとり方 | 朝起きてすぐ |
甘酒
発酵食品である甘酒には、腸内環境を整える作用が期待できます。腸内環境が整えば、老廃物をきちんと排出でき、食べた栄養がしっかり吸収できるため、肌にも栄養を補えます。ただ、甘酒には体内で吸収されやすいという特徴があります。空腹時に飲むと血糖値が上昇しやすいことは覚えておきましょう。
| 原料 | 米麹・酒粕 |
| 原料の働き | 腸内環境を整え、肌の状態の改善 |
| おすすめのとり方 | 朝起きて、午後の間食に、夜寝る前に |
甘酒には米麹から作られるものと酒粕のものがあります。酒粕の甘酒には砂糖で甘みが加えられ、アルコールを少量含むものもあります。そのため、米と麹と水で作られる米麹の甘酒をおすすめします。
アーモンドミルク
アーモンドミルクにはビタミンEが含まれます。ビタミンEは血管を健康に保ち、血行を促進する働きがあります。血行がよくなることで細胞の新陳代謝が促され、肌荒れ改善が期待できます。
また、ビタミンEには強い抗酸化作用があり、細胞の酸化を防いでくれるので肌にもプラスに働きます。
| 含まれる栄養素・成分 | ビタミンE など |
| 栄養素・成分の働き | 血行促進、抗酸化作用 |
| おすすめのとり方 | 朝食時、昼食前、就寝前 |
むくみと便秘を改善したい。
むくみと便秘、それぞれ別の悩みではありますが、水分不足によって起こりやすくなるという共通点があります。
体内に余分な水分がたまった状態がむくみですが、実は、水分が足りていないがゆえに、体が水分をため込もうとしてむくんでしまうこともあります。一方、便秘も水分不足が原因となることが少なくありません。体内の循環を整えて、滞らせないことが大切です。

ルイボスティー
むくみ改善にとりたい栄養素といえばカリウムです。むくみの原因の1つには、塩分(ナトリウム)のとりすぎがあり、カリウムはナトリウムの排出を促してくれるからです。ルイボスティーにもカリウムが含まれているのでむくみ改善におすすめです。
ただし、利尿作用とともに、おなかがゆるくなることもあります。飲みすぎに注意しましょう。
| 含まれる栄養素・成分 | カリウム など |
| 栄養素・成分の働き | ナトリウムを排出し水分を適正に保つ。むくみ防止 |
| おすすめのとり方 | 便通の状態を見ながら、1日2杯程度から |
黒豆茶・ごぼう茶
腸内環境の悪化も便秘の原因の1つと考えられます。腸内環境を整えるのに役立つ食物繊維を含む黒豆茶やごぼう茶は、便秘のときの水分補給に利用できます。
| 含まれる栄養素・成分 | 食物繊維 など |
| 栄養素・成分の働き | 腸内環境の改善 |
| おすすめのとり方 | 朝、昼、晩、食事と一緒に |
ぐっすり眠りたい。
誰でもぐっすりと気持ちよく眠りたいもの。とはいえ、なかなか寝つけない、途中で起きてしまうなど睡眠に悩みを抱えている人は少なくありません。ぐっすり眠りたいときにおすすめの飲み物を紹介します。

カモミールティー
カモミールは、別名「眠りをいざなうハーブ」。ポリフェノールの1種、フラボノイドが含まれていて、ストレス緩和が期待できるほか、不安をやわらげ、睡眠の質を向上させるGABAの分泌を促すと言われています。
| 含まれる栄養素・成分 | フラボノイド など |
| 栄養素・成分の働き | ストレスの緩和 |
| おすすめのとり方 | 就寝する1時間くらい前 |
ホットミルク
夜、あたりが暗くなると、脳内から「メラトニン」という神経伝達物質が分泌されることで、体が「眠るモード」へと移行します。このメラトニンの材料となるのが「トリプトファン」です。トリプトファンは人間の健康維持に欠かせない必須アミノ酸の1種。タンパク質を含む食品に入っていて、牛乳にも多く含まれています。
また、安眠のためには、ホットミルクにハチミツを少し加えるのもおすすめです。中途覚醒など睡眠の質に問題があるとき、夜間の低血糖が原因の1つとして考えられます。寝る前のハチミツはこうした夜間低血糖を防ぎ、快眠をもたらしてくれると言われています。
| 含まれる栄養素・成分 | トリプトファン など |
| 栄養素・成分の働き | 睡眠の質の向上 |
| おすすめのとり方 | 就寝する1時間くらい前 |
集中したい。
「もう少しがんばりたい」「とにかく今、眠気をなんとかしたい」。そんなとき、飲み物で手軽にエネルギーチャージできたらうれしいですよね。覚醒作用がある飲み物を上手に取り入れると、集中力を上げたり、元気を取り戻したりすることができます。

コーヒー
コーヒーに含まれるカフェインには興奮作用があるので、眠気を覚ましたいとき、シャキッとさせたいとき、集中したいときにはよい飲み物と言えます。
ただ、注意したいのは、カフェインには利尿作用があるということ。またとりすぎによる体調不良も考えられます。「水分補給」を目的とする場合は、まずは「水」を。水そのものが苦手という方はノンカフェインの麦茶などを選ぶようにしてください。
| 含まれる栄養素・成分 | カフェイン など |
| 栄養素・成分の働き | すっきりとさせる |
| おすすめのとり方 | 朝起きたときや仕事中など |
ココア
ココアにも多少のカフェインが含まれますが、特徴的なのは「テオブロミン」という成分です。テオブロミンには覚醒を促す作用とともに、リラックス効果もあり、集中力が持続するという研究もあります。ただし市販のミルクココアには砂糖が多く含まれています。飲みすぎには注意しましょう。
| 含まれる栄養素・成分 | カフェイン、テオブロミン など |
| 栄養素・成分の働き | 血管拡張、リラックス |
| おすすめのとり方 | 1日1杯~2杯 |
体にいい飲み物を取り入れるうえでのアドバイス。

それぞれの飲み物の特徴を知り、生活での取り入れ方を工夫してみましょう。
習慣化するコツは、おいしいものを飲むこと。
大前提として、「おいしいもの」「好みの味のもの」にすることです。「おいしくないけど、体にいいから飲む」というのでは絶対に長続きしません。
そして、飲むタイミングを決めること。「朝、起きたら白湯を飲む」「夕食後はカモミールティー」など、日々のルーティンに組み込むのです。すると、忘れにくいですし、次第に、その1杯を飲まなかったことに違和感を抱くようになるでしょう。
飲みはじめてからの体の変化を記録しておくのもおすすめです。なにかしらの目的をもって飲むのであれば、「体にいい」を実感できると、続けるのが楽しくなります。いつから飲みはじめて、どんな変化があったのかをメモしてみてはいかがでしょうか。
実は、体にマイナスに働く飲み物もある。
体にいいとされる成分が入っていても、砂糖がたっぷり入っていたら、プラスマイナスゼロどころか、場合によってはマイナスになることもあります。
チェックポイントは、原材料表示。基本的に重さの割合が多いものから順に表示されます。「果糖ブドウ糖液糖」が最初にあったら、少し注意が必要かもしれません。「果糖ブドウ糖液糖」自体は悪いものではありませんが、吸収されやすく、血糖値の急上昇につながりやすいからです。
飲みすぎには注意。
体にいい飲み物でも、飲みすぎたら、体に悪い飲み物になりかねません。
たとえば、エナジードリンク。糖分によるエネルギー補給、カフェインによる覚醒作用が見込まれ、疲労感を軽減したり、集中力を高めたりといった作用を期待できます。しかし過剰に摂取すると血中のカフェイン濃度が高まって、めまいや下痢、吐き気などの症状を引き起こすことがあります。
カフェインの摂取の目安として、カナダの保健省では1日400mg未満を推奨しています。400mg未満はコーヒーだとマグカップで3杯くらい。エナジードリンクのカフェイン含有量に注意しつつ、「ここぞ!」というときの1本としてつきあっていくことをおすすめします。
参考:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
“栄養のプロ”おすすめの飲み物。
今は、のどや体の渇きを潤すための水分補給には水、もしくは白湯を飲むようにしています。飲み物になんらかの成分が入っていたら、内臓で代謝する必要がありますが、水を適量飲むぶんには内臓に負担をかけることはありません。食事でとる水分のほかに、1日に1リットル~1.5リットルほどの水を飲むようにしています。
【まとめ】体にいい飲み物は補助的なもの。うまく生活に取り入れて。
基本的に栄養は食事からとるべきです。でも、忙しい毎日、栄養バランスのとれた食事を1日3食、きっちりとれるという人は少ないでしょう。そんなとき、飲み物で不足しているものをプラスするのは、手軽で合理的な考え方だと思います。
ただ、飲み物だけで健康な体を手に入れることはできません。また、どんなものもそうですが、メリットがあればデメリットもあるもの。体にいい飲み物に過剰な期待を寄せず、「生活の質を少し上げるもの」として上手に取り入れていきましょう。
写真/Getty Images イラスト/こつじゆい
【監修者】北嶋 佳奈
管理栄養士・フードコーディネーター
大学卒業後、飲食店勤務やフードコーディネーターアシスタントを経て独立。「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに美容・ダイエット・健康に関する料理本を出版。雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演など活動中。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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