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おすわりはいつからできる?成長のステップやサポート方法まで解説。
赤ちゃんがおすわりしている姿はとってもキュート。赤ちゃんを初めて育てるママやパパにとっては、「おすわり」がいつごろできるようになるのか気になるところでしょう。また、同じくらいの月齢の赤ちゃんの様子を見て「うちの子は早すぎる?」「なかなかできない」など、さまざまな悩みが生まれることもあります。
「おすわりができる」とはどういうことなのか、できるようになる月齢の目安、おすわりを促す練習方法はあるのかなどを、子どもの心身の発達を研究されている小児科医の榊原洋一先生が解説します。
目次
- おすわりはいつからできるようになる?
- おすわりができるように練習したほうがいい?
- おすわりにまつわるお悩みや疑問にお答え。
- 【まとめ】あせって無理に練習させる必要はなし。赤ちゃんの成長にあわせたサポートを。
おすわりはいつからできるようになる?
「おすわりができる」というのは、寝返りができるようになった赤ちゃんが自分の力でおすわりをして、その姿勢をキープできることです。「大人がすわらせれば、すわっていられる」というわけではありません。
おすわりができるようになる時期の目安。
自分でおすわりができるようになる目安の月齢は7か月~10か月です。いつできるようになるかは個人差がありますが、「寝返りができるようになってから」という運動発達の順番は変わりません。
赤ちゃんは腹部の筋力がまだ弱いため、大人のようにあお向けの姿勢から腹筋を使って起き上がることは難しく、寝返りをしてうつぶせの姿勢からおすわりするのが一般的です。
おすわりができるようになる兆候は?
赤ちゃんが寝返りをして、うつぶせの姿勢に慣れてくると、腕で支えて胸をもちあげ、目の前のおもちゃをつかもうとするなど、腕や手の動きも発達してきます。やがて、腕の力で上体をもちあげて自分の力でおすわりができるようになっていきます。
また、大人がすわらせてみたときに、背中がまっすぐ伸びて床に手をつかなくてもしばらくすわっていられるようになれば、おすわりができるようになるまで、あともう一息。あせらず見守ってあげましょう。
おすわりまでのステップ。
おすわりの姿勢が安定して自分でおすわりができるようになるまでは、おおむね次のようなステップをたどります。
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ただし、この表はあくまでも標準的な指標にすぎず、誰もが上記のような姿勢の変化があるわけではありません。「平成22年乳幼児身体発育調査の概況について」によれば、4か月でおすわりができる子(0.5%)もいれば、10か月でおすわりができるようになる子(1.4%)もいて、約6か月の幅があります。
このことからもおすわりができるようになる時期は、個人差がとても大きいことがわかります。
参考:厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査の概況について 調査結果の概要」
おすわりができるように練習したほうがいい?
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赤ちゃんにとって、おすわりすること自体は目的ではありません。おもちゃに触りたいとか、ママやパパに抱っこしてほしいとか、赤ちゃんなりの目的(やりたいこと)を果たすために自分の体を動かしてみた結果、おすわりができるようになります。
ですから、おすわりを目的にした練習は必要ありません。赤ちゃんが動きやすくて安全な環境を整えてあげることが、いちばん大切な親の役目です。
「おすわりが安定しない」「まだ自分でおすわりしない」と心配するよりも「今のうちの子は、自分の体をどんなふうに使って、どんな動きを楽しんでいるのか」をじっくり観察してみることも大切です。
まだ自分でおすわりできない赤ちゃんをすわらせると、体に負担がかかる?
赤ちゃんが嫌がっているのにすわらせる、いすに固定してすわらせるなどはもちろんNGです。しかし、首がしっかりすわっている赤ちゃんなら、倒れないように背中や腰を支えてあげて、少しの間、おすわりの姿勢をしたというくらいでは体に負担がかかることはありません。
親がまだおすわりできない子を少しの間支えてあげて、赤ちゃんの視線を高くしたり、実際に触りたいものに近づけることは、赤ちゃんの好奇心(見たい、触りたい)を叶えてあげる体験にもなるのです。
おすわりできるようになるまでのサポート方法。
おすわりがしっかり安定するまでは急にバランスを崩して倒れることもあるので、必ず大人がそばについてサポートしてあげます。
おすわりした赤ちゃんを大人が後ろから支えて、ベビージムなど手を伸ばして触って遊べるおもちゃで遊ばせてあげるのも、赤ちゃんの見たい、触りたいという欲求を満たしてあげることになります。
赤ちゃんの背中や腰まわりを支えるベビーチェアなどを利用するのもよいです。ただし、赤ちゃんがおとなしくすわっているからと、長時間すわらせて放置するのはNGです。すわっている間も赤ちゃんの様子を見てあげて、声かけしたりふれあったりして遊んであげましょう。
寝返りがまだで、腰すわりまであと一歩という赤ちゃんなら、機嫌のよいときにうつぶせ姿勢で遊ばせたり、スキンシップを兼ねて赤ちゃん体操をしてみてもよいでしょう。
能動的になれない赤ちゃんにとっては、自分の好奇心を駆り立てられることが、体の発達への大事な過程でもあります。以下のような親との遊びをとおして、「自分で動きたい」という気持ちを育むことは、体の発達には欠かせません。
<おすすめの赤ちゃん体操>
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・あお向けに寝た赤ちゃんの腰を手で支えて、左右にゴロンゴロンと揺らす。
・大人があお向けに寝ておなかの上に赤ちゃんをあお向け、またはうつぶせにのせてしっかり抱っこ。一緒にゴロンゴロンと左右に揺れる。
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・あお向けに寝かせた赤ちゃんの両足首をもって、ゆっくり膝の屈伸運動をする。
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おすわりにまつわるお悩みや疑問にお答え。
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発達に関するお悩みは十人十色。おすわりについてママやパパたちが抱えるさまざまな疑問にお答えします。
お悩み1:おすわりさせると前のめりになってしまいます。
Q:おすわりさせると前のめりになってペタンとつぶれてしまいます。おすわりさせるのはまだ早い?
A:腰がまだ十分にすわっていないのでしょう。運動発達は、特に練習しなくても赤ちゃんのペースで進んでいきますが、上で紹介した赤ちゃん体操などをやってみてもよいですね。赤ちゃんのご機嫌のいいときに、親子のふれあい遊びとして楽しみましょう。
お悩み2:おすわりするのが早すぎるとよくないの?
Q:目安よりも早い月齢からおすわりできるようになりました。体に負担がかかったりしない?
A:赤ちゃんは自分の体にとって害になるような動きはしません。自分でおすわりができるようになったのでしたら、目安の月齢より早くても問題ありません。
お悩み3:おすわりしてもすぐやめちゃう。
Q:おすわりしても、すぐに自分でうつぶせに戻って寝返りでゴロゴロと動き出してしまいます。
A:おすわりからうつぶせと、体勢を自在に変えられるようになったのですね。寝返りは、赤ちゃんにとっては行きたいほうに移動するための手段でもあります。じっとすわっているよりも寝返りで動いているほうが好き、という赤ちゃんなのでしょう。何も問題はないので、赤ちゃんの意思に任せて動かせてあげてください。
お悩み4:病院や専門機関に相談するべきか悩む。
Q:おすわりができない場合に病院や専門機関に相談する目安は?
A:「首がすわらない」「おもちゃにまったく興味を示さない」など、「○○しない」が病気や障害に気づくきっかけとなることは多いです。できるようになる目安の月齢はあくまでも目安ですが、「9か月になっても支えなしではおすわりがふらつく」など、おすわりに関して心配があるときは、かかりつけの小児科医に相談してみるとよいです。
【まとめ】あせって無理に練習させる必要はなし。赤ちゃんの成長にあわせたサポートを。
発達が順調に進んでいる場合でも、おすわりの姿勢が安定して、自分でおすわりができるようになる時期には個人差があります。これまでの運動発達が順番どおりに進んでいるのであれば、「よその子と比べて遅い!」と心配しなくても大丈夫。遊びの中で、おすわりする楽しさを体験させてあげましょう。
赤ちゃんは、昨日はまだできなかったことが今日、突然できるようになることがよくあります。事故を防ぐための安全な環境づくりは赤ちゃんの運動発達を先読みして整えていき、赤ちゃんの成長にあわせたかかわりをしてあげましょう。
写真/Getty Images、PIXTA イラスト/こつじゆい
【監修者】榊原 洋一
医学博士。小児科医。お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授を経て、同名誉教授。チャイルドリサーチネット所長。専門は小児科学、発達神経学、国際医療協力、育児学で発達障害研究の第一人者。著書は『ヒトの発達とは何か』(筑摩書房)など多数。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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