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赤ちゃんの「寝返り返り」ができるまで。安全を守る方法や注意点を医師が解説。
「寝返り」ができるようになった赤ちゃんが、自分であおむけ姿勢に戻れるようになるまでの期間、うつぶせ姿勢が原因で窒息やSIDS(乳幼児突然死症候群)(※)などにつながらないか心配なママ・パパもいるかもしれません。
うつぶせからあおむけ姿勢に戻る「寝返り返り」は、いつごろできるようになり、それまで親はどんなことに気をつけてサポートしていくとよいのか、子どもの心身の発達を研究している小児科医の榊原洋一先生が解説します。
※ 何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気
目次
「寝返り返り」はいつできる?
![「寝返り返り」はいつできる?](https://image.mirashiru.dai-ichi-life.co.jp/prod/sites/default/files/inline-images/img_2410_08_001.jpg?VersionId=ZLlkYfWb6HV1rV.AC3MXv3UIC7sUilDx)
「寝返り返り」とは、赤ちゃんが「寝返り」をしたあと、自力でもとのあおむけ姿勢に戻ることです。「寝返り返り」ができるようになるまでは、親や保育者が戻してあげないとずっとうつぶせの姿勢でいることになってしまいます。
「寝返り返り」ができるようになる目安の時期。
赤ちゃんは、母子健康手帳には月齢4か月すぎから6か月ごろを目安に「寝返り」ができるようになると書かれています。最初のうちは左右どちらかに向きやすい方向があって偏ってしまいがち。むしろ左右両方できる子のほうが少ないようです。
参考:こども家庭庁「母子健康手帳省令様式(令和6年4月1日施行)」(参照:2024年11月26日)
左右どちらにも「寝返り」ができるようになると、多くの子が8か月くらいまでには「寝返り返り」ができるようになります。ただし「寝返り返り」をせずに、うつぶせの姿勢から「おすわり」→「つかまり立ち」を始める子もいます。「寝返り返り」をしなくても発達に問題はありません。
「寝返り返り」ができるようになるまでの注意点。
「寝返り返り」を自在にできない赤ちゃんをうつぶせのまま寝かせておくと、生後6か月ごろまではSIDSや窒息が心配ですね。「寝返り返り」がスムーズにできるようになるまでは、SIDSや窒息の事故を防ぐために次のことに気をつけましょう。
・眠るときはあおむけで寝かせる。
1歳までは、寝かせるときはあおむけにして寝かせます。
・日中もうつぶせ状態で放っておかない。目を離さない。
赤ちゃんをうつぶせの姿勢にして遊ばせてあげるときは、必ず大人がそばについて見守りましょう。うつぶせで遊んでいるとそのままの体勢で寝てしまうことも。できるだけ、うつぶせのまま寝かせないように見ていてあげてください。
・固めのベビー用寝具を使う。
ふかふかの敷布団は、赤ちゃんの鼻や口をふさいで窒息を引き起こしやすくなるという報告があります。敷布団やマット、枕はベビー用の固めのもの、掛け布団は軽いものを使います。ぬいぐるみ、やわらかなクッションなどを赤ちゃんのまわりに置かないようにしましょう。
・ベッドの隙間にも注意を。
赤ちゃんがベッドから転落、隙間に挟まって窒息などの事故を防ぐために、ベビーベッドの開放部の柵は常に上げた状態にし、赤ちゃんの頭や体が挟まれないように周囲の隙間をなくします。
親のベッドにつけた転落防止用の柵とマットレスの隙間に赤ちゃんの頭が挟まる事故も起きています。赤ちゃんはなるべくベビーベッドか、床に敷いた布団で寝かせるようにしましょう。
参考:こども家庭庁「11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です」(2023)(参照:2024年10月18日)
「寝返り返り」ができるように、親はどんなアシストをしたらよい?
![「寝返り返り」ができるように、親はどんなアシストをしたらよい?](https://image.mirashiru.dai-ichi-life.co.jp/prod/sites/default/files/inline-images/img_2410_08_002.jpg?VersionId=QKniY5R8.d.c_P6zBo.pROxukRfKa0ae)
赤ちゃんがうつぶせ姿勢から戻ろうとしているときに、ちょっと体を押して「寝返り返り」を手伝ってあげましょう。赤ちゃんを励ましたり、ほめたりする声かけをして赤ちゃんのやる気を引き出します。
![赤ちゃんを励ましたり、ほめたりする声かけを。](https://image.mirashiru.dai-ichi-life.co.jp/prod/sites/default/files/inline-images/img_2410_08_003.jpg?VersionId=r35fc7h_ihDa_9GSZGR6J5x.CHIiWgqk)
片方の「寝返り」ばかりする赤ちゃんなら、反対側から好きなおもちゃで誘うなどで促してみてもよいでしょう。
![好きなおもちゃで誘ってみても。](https://image.mirashiru.dai-ichi-life.co.jp/prod/sites/default/files/inline-images/img_2410_08_004.jpg?VersionId=xaGronayecqZvmq7z49gGhpnfBL_7XJ.)
「寝返り返り」だけをねらった運動や遊びというよりも、赤ちゃんがのびのび楽しく体を動かすことができる遊びを親子でふれあいながらやっていくとよいかと思います。
「寝返り返り」ができるようになったら注意すること。
「寝返り返り」ができるようになると、赤ちゃんは「寝返り」の連続で「ハイハイ」するのと同じくらい、かなり広範囲に移動できるようになります。
行きたいほうへゴロゴロと転がって、段差や階段からの転落、薬やボタン電池など小さなものの誤飲、電気コードやテーブルクロスの端を引っ張る、ストーブに触るなどで、思わぬケガや事故につながることも。
移動範囲が広がってきたと感じたら、床の上はスッキリ片づける、ベッドに転落防止の柵をつける、危険なものには手が届かないようにするなどの対策をしておきましょう。
「寝返り返り」の悩み、疑問にお答え。
![「寝返り返り」の悩み、疑問にお答え。](https://image.mirashiru.dai-ichi-life.co.jp/prod/sites/default/files/inline-images/img_2410_08_005.jpg?VersionId=9J5TYQOrVpwX_rgUHRvyuiNw.73bywW9)
「寝返り返り」にまつわる、ママやパパたちからのさまざまなお悩み、疑問に榊原先生がお答えします。
お悩み1:「寝返り返り」ができるようになっても、うつぶせで寝かせてはダメ?
Q:「寝返り返り」もスムーズにできるようになりましたが、夜中にうつぶせで寝ていたらあおむけに戻すべき?
A:1歳までは、寝かせるときはあおむけが基本です。6か月をすぎて「寝返り返り」ができるようになっても、夜中は親が気づいたときにあおむけに戻してあげましょう。
ただし、米国国立衛生研究所および米国小児科学会によると、赤ちゃんがあおむけからうつぶせ、うつぶせからあおむけのどちら側からでも自分で寝返りができるようになったら、あおむけ寝の姿勢に戻す必要はないとされています。
参考:こども家庭庁「11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です」(2023)(参照:2024年10月18日)
お悩み2:「寝返り」「寝返り返り」が目安より早すぎる?
Q:生後3か月から「寝返り」をするように。早すぎるということはありますか?
A:「寝返り」や「寝返り返り」が早くても、赤ちゃんの発達としては問題ありません。転落防止のためにベビーベッドの柵は必ず上げておく、ソファーや外出先のおむつ替え台などに赤ちゃんを寝かせるときは目を離さない、など安全を確保するための配慮は必要になりますが、「寝返り」が早いからといって心配することはありません。
お悩み3:「寝返り」をしてすぐにうつぶせ姿勢に。
Q:「寝返り返り」もできるけれど、うつぶせ姿勢が好きみたいで、親が戻してあげてもすぐまたうつぶせになってしまいます。
A:うつぶせの状態で遊んでいるのなら、親が見守りながら赤ちゃんの自由にやらせてあげましょう。寝るときは、あおむけで寝かせるようにします。
お悩み4:夜中、うつぶせになって窒息しないか心配。
Q:夜、寝ている間に「寝返り」をしてうつぶせになってしまうのが心配で、親が眠れません。
A:親が眠れないほど心配でしたら、寝返り防止用のクッションやおくるみベルトなどを使ってみてもよいですよ。こうしたグッズを使うと、赤ちゃんの動きは制限されますが、親が就寝している間だけ使用する程度なら心配はありません。
【まとめ】赤ちゃんの発達にあわせた対応で見守って。
「寝返り」ができるようになった赤ちゃんは、特別な練習などをしなくてもやがて「寝返り返り」ができるようになります。それまでの間は、うつぶせの赤ちゃんから目を離さないなどの注意が必要で、ママやパパもちょっと大変な時期かもしれません。
6か月をすぎて、左右どちらにも「寝返り」と「寝返り返り」ができるようになれば、夜中の就寝中は親が気づいたときにうつぶせからあおむけに戻してあげればよいでしょう。
「寝返り」は運動でもあり、赤ちゃんの移動手段にもなります。赤ちゃんの発達にあわせて安全な環境を整えてあげることが大事です。
赤ちゃんの命を守るための基本は押さえて、「寝返り」や「寝返り返り」しようと頑張っている赤ちゃんを見守りながら、「頑張ったね。できたね」と声かけをしてあげましょう。
写真/PIXTA イラスト/こつじゆい
【監修者】榊原 洋一
医学博士。小児科医。お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授を経て、同名誉教授。チャイルドリサーチネット所長。専門は小児科学、発達神経学、国際医療協力、育児学で発達障害研究の第一人者。著書は『ヒトの発達とは何か』(筑摩書房)など多数。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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