寝て終わる休日、どうにかしたいあなたへ。専門家が悩みに回答。 寝て終わる休日、どうにかしたいあなたへ。専門家が悩みに回答。

寝て終わる休日、どうにかしたいあなたへ。専門家が悩みに回答。

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仕事がある日は、「次の休みにはカフェ巡りをしよう」「朝からジムへ行って汗を流すぞ」など、充実した1日を過ごすイメージを膨らませていたのに、いざ休日になると、ベッドから出られない、外に出る気がしない……。そんなことはありませんか?

「せっかくの休日なのに、寝て終わってしまい何もできなかった……」と、後悔や虚無感に沈んでしまう人もいるかもしれません。でも、睡眠と疲労の専門医である梶本修身先生は「落ち込むことはありません。休日に何もしないことは、人間としてごく当たり前の反応です」とおっしゃいます。

そもそも休日、寝て終わってしまう原因は何か、満足のいく休日を過ごすために日ごろからどのようなことに気をつければよいのかなどについて、梶本先生に解説していただきました。

目次

休日、寝て終わるのはなぜ?その原因を解説。

休日、寝て終わるのはなぜ?その原因を解説。

「せっかくの休日なのに、寝て終わってしまった」と、何もできなかったことに虚無感を覚える方は少なくないはず。休日になかなか起きられず寝て過ごしてしまうのはなぜなのでしょうか。まずはじめに、その原因についてみていきましょう。

休日に起きられないのは、脳からの「休め」のサイン。

休日を寝て過ごしてしまうのは、疲れが蓄積し、脳から「休め」の指令が出ていることが原因だと考えられます。

仕事や運動をして、筋肉や内臓をたくさん働かせると、体の各部位の機能を調節している自律神経の中枢に疲れが生じます。そして脳は、自律神経の中枢の疲れをキャッチすると、自律神経を回復させるために、サイトカインという物質を分泌し、意欲を低下させて体を休ませようとします。

その結果、休日なかなか起きられず寝て終わってしまうということが起きるのです。

日ごろの睡眠が足りていない可能性も。

休日、寝て終わってしまう原因として、日ごろの睡眠が十分でないことも挙げられます。睡眠中は、自律神経が酷使されないため、神経細胞を休めて受けたダメージを修復し、疲労を回復させることができます。

ところが、慢性的に睡眠が不足していると、神経細胞が修復しきらずダメージが残ったままになってしまいます。それが積み重なると、ますます神経細胞が弱って自律神経の働きが低下し、さらに疲労が蓄積。ついには休日に起きられない状態になってしまうのです。

電車で座るとすぐに眠くなる、起きてから4時間以内に眠くなる、という人は、日ごろの睡眠が足りていない可能性があります。

気づかないうちに溜まっていく「隠れ疲労」にも注意!

休日、寝て終わってしまう原因として、もう1つ考えられるのが「隠れ疲労」。実際は疲れていても、やりがいや楽しさ、充実感、達成感などの感情によって、脳内に快感物質が分泌され、疲労感が覆い隠されてしまうことがあります。これが「隠れ疲労」です。

たとえば、仕事で一生懸命にがんばると、上司や会社から褒められたり、昇進・昇給したりといった見返りが得られます。このとき、脳にはβ-エンドルフィンなどの脳内ホルモンが分泌されるため、仕事でがんばって自律神経が疲れているにもかかわらず、その疲労が覆い隠されてしまうのです。

このように、ポジティブな感情が疲れを隠してしまうことで、実際には疲れが溜まっていても気が付かず、さらに疲れが蓄積して休日になかなか起きられないという状態を招いてしまうのです。

せっかくの休日、寝て終わらせないために。日ごろから意識するとよいこと。

せっかくの休日、寝て終わらせないために。日ごろから意識するとよいこと。

寝て終わってしまう休日をどうにかしたい! そんな方は、仕事がある日の過ごし方を見直してみましょう。休日を寝て終わらせないために、意識したいポイントをいくつかご紹介します。

運動しすぎ、働きすぎなど“すぎる”を減らす。

日ごろから“すぎる”を減らすことを意識することで、疲労を溜めず、休日に寝て起きられない事態を防げるかもしれません。

運動不足だと思って、仕事の前後にランニングをしたり、ジムへ通ったりしている方もいるかと思います。ところが、その行動が運動の“しすぎ”につながり、かえって疲れを溜めてしまっている可能性があります。

私たちは1日平均7,000歩ほど歩いているといわれますが(※)、それだけ歩いていれば1日の運動量としては十分です。満員電車で立って揺れに耐えているだけでも足腰はかなり鍛えられるでしょう。

※ 20歳~64歳の歩数の平均(令和元年時点)。

また、働きすぎの改善も意識したいポイント。個人の努力だけでは難しい面もあるかと思いますが、疲れを無視して活動を続けてしまうと、とりかえしのつかないことになってしまいます。

若い人は、回復機能もまだそれほど衰えていないので、なんとか無理ができているかもしれません。ですが、無理を続けてしまうことで、脳の神経細胞がダメージを受け、老化が進みやすくなります。場合によっては、頭痛や発熱などの症状が出たり、自律神経失調症、生活習慣病やうつ病など、さまざまな病気を引き起こしたりする可能性も高まるため、注意が必要です。

参考:厚生労働省「身体活動・運動領域資料」(2024)

休みの前日は夜更かしせずに、少しだけでも早く寝る。

金曜日など、休みの前日の夜は「明日はゆっくり寝られるから」とつい夜更かしをしてしまう人も多いでしょう。しかしその結果、休日に昼まで寝てしまうことに悩んでいるのならば、休みの前日は少しだけ早く寝てみてはいかがでしょう。

休みの前日の睡眠のポイントは、起きる時間をなるべく平日と変えないこと。1時間早く寝て、1時間だけ遅く起きる。これだけで休日はいつもより2時間長く寝られます。長く眠りすぎると体内時計が乱れ、逆に疲れやすくなってしまうため、睡眠時間は、長くとも普段の時間プラス2時間までがおすすめです。

1時間早く寝て、1時間遅く起きる(例)

休日が終わりかけている今、できること。

休日が終わりかけている今、できること。

休日を寝て過ごさないために、日ごろから意識するとよいことはわかっても、実際に休日を寝て過ごしてしまったときに感じる後悔や虚無感はなかなか消えないもの。寝て終わりかけている休日の残りの時間を、せめて有意義に使えたら……と思う方もいるでしょう。

最後に、そんな方に向けて、休日の残り時間の過ごし方のポイントを伝授します。

実は逆効果?休日の残った時間でやらないほうがよいこと。

疲れが取れそうに思えて、実は自律神経に負担をかけて、さらに疲労を溜めこむ原因となる行動があります。

たとえば、熱いお風呂や長湯。一見リラックスできて1日の締めくくりにふさわしいように思えますが、自律神経に大きな負担をかけることになるのでおすすめできません。お風呂は、汗をかかない程度の39度くらいのぬるめのお湯で5分~10分にしましょう。お湯につかるのは胸までの半身浴にすれば、熱さで脳がのぼせるのを防ぐことができます。

また、友人と楽しく飲みに行くことや、ワクワクドキドキする映画やドラマの鑑賞も、実は脳が興奮して快感物質を分泌し、疲れを覆い隠すことにつながってしまいます。「疲れが取れた! まだ何かできるはず」と勘違いして、その後の無理な行動につながってしまうので要注意です。

おすすめは幸せホルモン「オキシトシン」が分泌されるようなこと。

「休日を寝て過ごしてしまった。せめて残った時間で何かをしたい」と考えるあなたにおすすめなのは「オキシトシン」が分泌されるようなことです。

オキシトシンとは、“幸せホルモン”として知られる脳内ホルモンの1つ。くつろいでいるときに分泌されやすく、疲労を回復し、ストレスを軽減する効果があるといわれています。

休日の残りの時間は、ペットと触れ合ったり、心安らぐ相手とメッセージのやりとりや電話をしたりするのがおすすめ。また、ぬいぐるみやクッションなどやわらかいものに触ったり、アロマを焚いたり、軽くマッサージをしたりするのもオキシトシンの分泌には効果的です。

オキシトシンの分泌を意識しながらのんびりくつろいで過ごし、休み明けのエネルギーをチャージしましょう。

【まとめ】そもそも休日は「休みの日」。寝て終わった1日を後悔する必要はない。

【まとめ】そもそも休日は「休みの日」。寝て終わった1日を後悔する必要はない。

休日を寝て過ごしてしまい、何もできなかったことに対して、後悔や虚無感を覚える方もいるでしょう。しかし、そもそも休日は「休みの日」。休日に何もしないのは決して悪いことではありません。休日、ごろごろ寝て過ごすのは、むしろ正しいことだと思ってOK。何もしたくない気持ちにふたをして、無理にアクティブに活動することのほうが要注意です。

毎日忙しく働くなかで、多くの人は「隠れ疲労」を溜めこんでいます。休日は昼まで寝てしまって何もする気がおきないのは、「今休まないと体を壊してしまいますよ」という脳からのアラートなのです。休日、寝て終わってしまったときは、リラックスして過ごすことが体のために大切だと考えて、罪悪感を持たずにしっかり休むように心がけてください。

写真/Getty Images イラスト/こつじゆい


【監修者】梶本 修身 
医師・医学博士。東京疲労・睡眠クリニック院長。2003年より「産官学連携疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」研究統括責任者。著書・監修書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)、『ネコさんが教える疲れリセット教室』(学研プラス)など多数。


※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。 
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