チートデイの頻度を間違えると逆効果!?効果的な活用方法と注意点。
ダイエットを意識すると、よく耳にする「チートデイ」という言葉。特に気になるのが、その頻度ではないでしょうか。「うまく活用しないと逆効果になりそう……」と不安に思う人も多いはず。管理栄養士であり、ボディメイク大会で日本3位に輝いたこともある北嶋佳奈さんに、チートデイについて詳しく伺いました。
目次
- チートデイとは?
- チートデイの頻度はどれくらいがベスト?
- チートデイの効果を最大化するために。
- ライフスタイル別のチートデイの上手な取り入れ方。
- 「食べたい」気持ちとの向き合い方。
- チートデイ後のリカバリー方法。
- チートデイを実践した経験談。
- 【まとめ】チートデイを適切に取り入れ、ダイエットを成功に導く。
チートデイとは?

チートデイとは、ダイエット中に計画的に摂取カロリーを増やす日のことです。ダイエットを続けると、代謝が落ちて体重の減少が停滞することがありますが、チートデイを取り入れることで代謝の低下を防ぐ効果を期待できます。減量をスムーズに進めるためにもうまく活用したいものです。
また、食事制限によるストレスの軽減やダイエットのモチベーション維持も、チートデイの大きな役割です。
チートデイのメカニズム。
ダイエットをはじめると、最初は順調に体重が減りますが、やがて同じ食事をしているのに1週間~2週間体重が減らない「停滞期」に入ることがあります。これは摂取カロリーが減ったことに体が反応し、体が「飢餓状態でも生命活動を維持しよう」と体を省エネモードにさせるためです。
チートデイの目的は、この停滞期を脱するため、一時的に摂取カロリーを増やし、体に「飢餓状態ではない」と認識させることです。チートデイ(cheat day)の“チート(cheat)”には、「だます・ごまかす」という意味があり、一時的にたくさん食べることで体をうまくだまして、再び体重が減少しやすい状態を促すのです。
さらに、チートデイを取り入れることで、食欲や満腹感に関わるホルモン「レプチン」などの分泌が増え、食欲をコントロールしやすくなる可能性があるとの報告もあります。
メンタル面でのメリット。
チートデイはメンタル面でも大きなメリットがあります。それは、食事制限のストレスを解消できることです。食事制限は順調に体重が減っていれば我慢のしがいもありますが、停滞期のストレスは相当なものになります。チートデイで一時的に好きなものを食べられれば、ストレス解消につながり、ダイエットのモチベーションを維持することにもつながるでしょう。
チートデイの注意点・リスク。
チートデイを取り入れる場合に注意したいのが、急激な食事内容の変化による体への負担です。たとえば、ダイエット期間に野菜中心の食生活をずっと続けていて、チートデイでいきなり脂質が多い食事をまとめて摂ると、胃腸に大きな負担がかかります。
また、チートデイをきっかけに食欲が抑えられなくなるリスクもあります。成功するダイエットの秘訣は、体重減少や食欲などの変化をなるべく緩やかにすることです。
チートデイの頻度はどれくらいがベスト?

ダイエットにチートデイを取り入れる場合、適切な頻度で取り入れないと、逆に体重の増加につながってしまいます。
チートデイの理想的な頻度は性別や体格で異なる。
チートデイの理想的な頻度は、おおよそ1週間~2週間に1回程度といわれていますが、体格によって異なります。筋肉量が多く、トレーニングを積んでいる人ほど代謝が活発なため、チートデイを取り入れる頻度は多くなります。
ボディメイクを意識したトレーニングに励んでいる人は、週1回チートデイを取り入れても問題ないですが、一般的なダイエットをしている人だと毎週取り入れてしまうと多すぎるかもしれません。取り入れるとしても2週間に1回程度にするのをおすすめします。
チートデイの頻度の目安
| 体脂肪率 | チートデイの頻度 |
| 10%前後 | 週1回程度 |
| 15%前後 | 10日に1回程度 |
| 20%前後 | 2週間に1回程度 |
また、女性の場合は生理によるホルモンバランスで体重や食欲が変動しやすいため、停滞期かどうかがわかりにくいこともあります。生理の周期をチェックし、自分に合った無理のない頻度を見つけましょう。
チートデイはみんなに必要?
そもそもチートデイは必ず設けなくてはいけないものではありません。
チートデイが必要なのは、食事制限を続けていくなかで体が「停滞期」に入っている人。停滞期といっても、1日~2日程度ではなく、1週間~2週間程度体重が減らなくなった人が取り入れることを検討するものです。
停滞期がなく順調に体重が減っている人や、ストレスなく食事制限ができている人などには、チートデイを設ける必要はないでしょう。
むしろ、「空腹がとてもつらい」「チートデイを入れないと食欲が我慢できない」のは、食事制限をがんばりすぎている可能性もあります。一度立ち止まってダイエットの計画を見直してみましょう。リバウンドしにくい減量は、1か月に現体重の5%までです。
チートデイの効果を最大化するために。

チートデイの目的の一つにストレス解消があるからといって、なんでも好きなだけ食べていいわけではありません。栄養素なども踏まえてメニューを考えられると、チートデイの効果を最大限発揮できます。
チートデイに摂りたい食品。
最初に意識したいのは、食事のバランスです。ダイエット中は、野菜やタンパク質が中心の健康的な食事を続けていると思いますが、そこにチートデイの食べ物をプラスするイメージです。
チートデイでまず増やしたいのは、満腹感につながるホルモン、レプチンを刺激するといわれる炭水化物。筋量の維持に重要なタンパク質も、普段より増やしていいでしょう。
脂質が多い揚げものやバター・生クリームがたっぷりの洋菓子などは、減量の観点ではチートデイでも控えめにするのがいいでしょう。ただし、食事のストレス発散もチートデイの大事な役割の一つ。どうしても食べたいならばチートデイに食べましょう。
カロリー摂取量の目安。
チートデイの摂取カロリーの目安は、下記です。

基礎代謝量とは、安静時の体が必要とするカロリーで、年齢・性別・身体活動レベルから算出されます。ちなみに、体重の増減がない摂取カロリーは、基礎代謝量×1.5が目安とされています。食事制限でダイエットをする場合はこの数値よりもカロリーを控えめにすると体重が減少します。
ライフスタイル別のチートデイの上手な取り入れ方。

さまざまなライフスタイル別に、ダイエットにチートデイを取り入れるときのポイントをご紹介します。
仕事が忙しいビジネスパーソン。
職場の飲み会や取引先との会食など、勤務後も忙しい人は、それらの外食の日をチートデイとしてしまいましょう。平日忙しい人は、週末をチートデイにするとゆっくり食事を楽しめます。
運動を習慣化している人。
よく運動する人や筋肉をつけたい人は、チートデイの食事は筋肉を動かしたり、発達させたりするために必要な糖質とタンパク質を意識しましょう。チートデイですぐに体重が増えることはないので、チートデイ後のトレーニングをいつもより強化して減量を焦る必要はありません。
また、糖質やタンパク質をしっかり摂ったあとは、筋肉中のグリコーゲン(糖質)が満タンになりトレーニングでよりよいパフォーマンスが発揮できる可能性もあります。コンディションを見ながら、うまく活用しましょう。
不規則な生活をしている人。
シフト制の職場で働いていたり、定期的に夜勤があったりするなど、生活が不規則になりがちな人は、基準の時間を決めて、そこから1日チートデイとするといいでしょう。まとまった食事の時間がとれない場合などは、空いた時間にこまめに食べてカロリーを摂取するのがおすすめです。ただし寝る直前の食事は胃腸に悪いため、食べるのは寝る2時間前までにします。
ダイエットの初心者。
ダイエットをはじめたばかりの人は、適切に食事を制限できれば順調に体重が減っていくので、停滞期になるまではチートデイを設ける必要はありません。食事制限中、食べられないストレスに耐えられないのは、やり方が厳しすぎる可能性があります。無理なダイエットをしている場合、チートデイを入れることで食欲が爆発し、食べることを止められなくなってしまうことがあるので注意しましょう。
「食べたい」気持ちとの向き合い方。
ダイエットの大敵、食欲。食べたい気持ちをどうコントロールするかは、ダイエットを成功させるための鍵です。ダイエット中に食欲に負けないためのヒントをご紹介します。
1.空腹にしすぎない。
食事の間隔を空けすぎず、間食を活用する。
2.食欲の波を乱さない。
極度な空腹や満腹を避け、食欲が乱高下しない状態をつくる。
3.空腹時に買い物に行かない。
食べられないストレスを避け、食べてはいけない食料品を買わないようにする。空腹時は、高カロリーの食品を選びやすく、必要以上の量を買いやすい。
4.「食べちゃだめ」ではなく、「食べてもいいけれど最後」にする。
どうしても食べたいお菓子があるなら、野菜スープなどのダイエット食を食べ終わってから最後に食べる。
チートデイ後のリカバリー方法。

チートデイを満喫した日は、いつもより消化活動に負担がかかっていると考えられるので、睡眠をしっかりとって体を休ませましょう。翌日は自分の体調をいつも以上にチェックすることも大切です。チートデイでたくさん食べたからといって、翌日おなかがすいても何も食べないのはNG。極端に食べたり食べなかったりすると食欲が乱れ、ダイエットが続かなくなってしまいます。
もし胃もたれを感じるなら、胃に優しいものを食べましょう。運動を習慣化している人は、トレーニングをほどほどにしておくことも大切です。塩分によるむくみがあれば、ほうれん草やブロッコリー・バナナなど、カリウムを多く含む野菜や果物で体の余分な塩分・水分の排出を促します。
チートデイを実践した経験談。
最後に、あくまでもボディメイクの大会に向けた食事制限期間の話になりますが、私がチートデイをどのように過ごしていたかを紹介します。
大会前のストレス解消。
大会を目指して数か月かけて減量していると、途中で「食べたいものを食べる日がほしい」と思うようになります。大会が終わったら食べていいと思っても、それが数か月先だと本当につらい。
そんなときは「好きなものを食べる楽しみな日」を設けて、モチベーションを維持しました。チートデイには、余分な脂肪分が少ないお団子・どら焼きなどの和菓子を食べていました。食べたいものを食べる日があることで、だいぶストレスが減ったと思います。
目標達成後の食欲の爆発を防ぐ。
私の場合、チートデイを時々入れておくと、大会が終わっても食欲が爆発しませんでした。減量をがんばった出場者の中には、大会終了後に食欲が爆発し、数日で5kg増という人もいました。食欲が乱れて体重が増えたら、また大会に出る際に減量をしなくてはならない負のループに陥ります。ダイエットの目標を達成したあと、それを維持するためにもチートデイは有効だと思います。
【まとめ】チートデイを適切に取り入れ、ダイエットを成功に導く。
チートデイはダイエットに必要不可欠ではないものの、停滞期に悩む人や、本格的な体づくりを目指す人には、有効な場合があります。特にメンタル面での影響は大きく、適切な頻度、方法で取り入れてみてもいいでしょう。
写真/PIXTA イラスト/オオカミタホ
【監修者】北嶋 佳奈
管理栄養士。飲食店や料理アシスタントを経て、2012年に初の料理本を出版し独立。料理本出版やレシピ開発、各種メディアへの出演など多方面で活躍。2020年に筋トレに目覚め、ボディメイク管理栄養士として活動中。2021年にはベストボディ・ジャパン主催のモデルジャパン大会でレディースクラス日本3位に入賞。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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