32歳の独身時代に香織さんが手に入れた港区の2LDK。早めにマンションを買ってよかったこと。
10年以上続いた賃貸生活にピリオドを打ち、独身時代の32歳で港区にある築20 年の2LDKのマンションを手に入れた香織さん。Instagramやnoteで自身の体験をもとにしたマンション購入ストーリーを発信していて、“早い時期に家を買うことも検討しよう”というメッセージが多くの方の共感を得ています。そんな香織さんに、マンション購入に至った経緯や早い時期に不動産を持つメリットなどをお聞きしました。
「ローンが支払えなくなったらどうするの?」マンション購入時に言われたこと。
――なぜ30代前半にマンションを購入しようと思ったのでしょうか?
私は短大を卒業して企業で働きはじめましたが、20代の頃は貯金ばかりしていて、資産形成にはまったく興味がありませんでした。自分のまわりには男女を問わず30代前後で不動産を購入している人が多く、「家賃を払い続けるのはもったいない」とよく言われていて。いろんな人の話を聞くうちに、お金以外の資産も持っておきたいと思ったんです。改めて、それまで家賃に1,000万円以上払っていたことにも気づき、マンションを買ったほうがいいなと考えました。
加えて、祖父母の自宅が持ち家だったことも、マンション購入の後押しになりました。祖母は亡くなる前に3年ほど施設に入っており、その間の施設と入院の費用がトータルで1,000万円以上かかりました。持ち家だったからよかったものの、もしも賃貸だったら病院や施設代に加えて、家賃も払い続けなければならなかったから大変だっただろうなって。そういうことも目にしてきたので、老後になってからも家賃を払い続ける生活が自分には難しい気がしたんです。
――香織さんが30代前半でマンションを買うと言ったときに、まわりの反応はどうでした?
いちばん言われたのが、「仕事を辞めてローンが払えなくなったらどうするの?」でした。ただ、たとえ仕事を辞めても家賃だって払い続けるので、そこは家賃でもローンでも同じだと思うんです。それにマンションを購入した後に、売ることや貸すこともできますよね。“一生住む念願のマイホーム”ではなく、半分は「投資」のため、半分は「住む」ためという“半投半住”の考えです。住み替えを前提として不動産購入を考えることで、心理的ハードルはなくなりました。
――住み替えを前提にどういったマンションを探したのでしょうか。
資産価値が下がりにくいような、住んで良し・貸して良し・売って良しの物件です。自分だけではなく“自分もみんなも好きな物件”を意識しました。仮に、買った金額と同額、あるいはより高い金額で売却できれば、住んでいた間の実質の家賃がゼロ、場合によっては売却益を出すこともできます。余ったお金を活用してより良い物件にステップアップすることも可能ですよね。
私の場合は港区の再開発が進むエリアにある新耐震基準の2LDK、駅から徒歩5分以内で、2路線以上使えることを条件に探しました。再開発エリアに限定した理由は「みんなが今よりもっと好きになる可能性があるエリア」だと思ったからです。
“年齢にこだわらず、ほしいと思ったら家を買おう”。noteやInstagramで情報を発信。
2019年9月、香織さんは港区で築20年2LDKのマンションを購入。リノベーションして自分好みに間取りやキッチンを変更して暮らしはじめました。
――マンションを購入して心境の変化はありましたか?
私のような普通の会社員が、マンションを購入できたことが自信につながりました。仕事をもっとがんばろうとか、次はこんな家に暮らしたいなとか、モチベーションアップにもなっています。なにより「年齢や未婚既婚に関わらずに家を買うことの大切さを伝えていきたい」と思ったんです。
――そういった気づきがあって、noteやInstagramでご自身がマンションを購入した経緯などを発信しはじめたんですね。
はい。はじめは顔出しせずにInstagramでマンションを買おうと思った理由などを発信していたのですが、途中から不動産業者が運営していると疑われるようになって(笑)。私は実在していて、本当に港区のマンションを買ったということを伝えるために、noteで顔出しをして書きはじめました。
――noteに掲載されている「持ち家女子」へのインタビューは、30代前後で不動産を購入したさまざまな女性が登場していておもしろいですね。
ありがとうございます。私のまわりにいる友人や知人を紹介しているのですが、皆さん不動産を購入することへの心理的なハードルは低く、賃料を払い続けるよりも資産を持ちたいと考える人が多いですね。自分が気に入った同じエリアでマンションを買って、住んで、売って、買って、住んで、売ってを繰り返している人もいて、その人はこれまでのところ、賃貸の家賃よりも安い費用でマンションに住み続けています。こうした記事や投稿を見た人からの質問やメッセージがあまりに多かったので、不動産購入についての勉強会も開催することにしました。
――勉強会というのはどういったものでしょうか?
真剣に不動産を買いたいと思っている人が集まって話をする会で、これまで20回以上は行いました。はじめは知り合いのリノベーション会社のショールームをお借りして、男女20人くらい集めて行っていましたが、最近は参加者を女性に絞って4、5人程度で開催しています。不動産の購入を初めて検討する方って、何から手をつけていいのかわからないまま、業者の方にいろんな物件を勧められて、良し悪しの判断がつかないことが多いんです。そこで勉強会では不動産を買うためのダンドリや選び方、注意点などを経験者とともに伝えています。それだけでなく、リノベーション会社との打ち合わせに同行したり、勉強会で知り合った子とランチをしたりと、女子会の延長のようなノリですね(笑)。
――noteやInstagramの発信をきっかけに交流が広がったんですね。
はい、今後も自分ができる範囲で早い時期に家を買うメリットを伝え続けたいと思います。
マンション購入後にライフステージが変化。そのまま暮らし続けられる?
香織さんは2020年11月に結婚し、2021年10月に長男を出産。現在も独身時代に購入した2LDKのマンションで夫婦と子どもの3人で暮らしています。
――結婚、出産と、マンションを購入した頃とはライフステージが変わりましたが、今の間取りで不便な点などはありませんか?
今、子どもは生後3か月で、このマンションで子育てをしていますが、不便な点はないですね。ただ、将来的に手狭になってきたら、今のマンションを売るか、貸すかして、3LDKくらいの広い家に引っ越したいとは思っています。マンションを購入して2年が経ちましたが、実は買った当時よりも今のほうが、うちのマンションの価格は値上がりしているんです。
――マンションを買ったとき、ご主人とはおつきあいされていたとのことですが、香織さんがマンションを購入することを、どのように思っていましたか?
夫も30代前半、独身のときにすでに1LDKのマンションを購入して住んでおり、私がマンションを買うことには大賛成でした。ふたりとも家を買った経験があるので、これからの物件選びの相談や夫婦での資産形成がしやすいのがいいですね。
――夫婦ともに結婚前に不動産を購入されていたんですね。早い時期に不動産を購入するメリットはなんだと思いますか?
一般的には、結婚や出産を機に家を購入するケースが多いと思いますが、たとえば、出産後に家を買おうとしても、子育てで忙しく、時間的にも体力的にも大変だと思います。私はフットワークが軽いうちにマンションを買ってよかったと思います。
また、不動産を買った知識はその後にも役立ちますし、家を持つことで将来に向けての資産形成がしやすくなります。“家を買う=ずっと住むマイホーム”という固定概念を捨てることが大切で、たとえライフステージが変化しても、売ったり貸したりできる資産価値が下がりにくい家を選んでおけば、いかようにも対応することができるはず。
実際に買う、買わないは別にして、年齢に関わらずに、家を買うという選択肢があるんだよということを、私は多くの人に知ってもらいたいですね。
取材・文/藤井たかの 写真/甲斐寛代
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