定年退職した人も失業保険をもらえるの?申請の方法は? 定年退職した人も失業保険をもらえるの?申請の方法は?

定年退職した人も失業保険をもらえるの?申請の方法は?

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企業などに勤める人のセーフティーネットである「失業保険」。定年まで勤めあげた人も受給することはできるのでしょうか? そろそろ定年後のライフプランが気になってくる40代~50代に向けて、社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの森本幸人さんに、定年退職を前に知っておきたい失業保険の基本について聞きました。

目次

失業保険って何?どんな人がもらえるの?

失業保険って何?どんな人がもらえるの?

失業保険とは、雇用保険法に定められた雇用保険制度にもとづき支給される「失業等給付」の1つである「基本手当」が一般化した呼称です。

会社などに勤めていて雇用保険に加入している人が離職(雇用保険では退職のことを離職という)したときに、安定した生活を送りつつ、新しい仕事を探して再就職できるようにするための援助を主な目的としています。

定年退職した人も失業保険をもらえるの?

定年退職した人も、失業保険はもらえるのでしょうか?結論からいうと、もらえます。ただし、定年退職したあとは失業状態であり、再就職を目指して積極的な求職活動に取り組んでいることが要件になります。

なお、雇用保険において65歳未満は「一般被保険者」、65歳以上は「高年齢被保険者」となるため、60歳~64歳で定年退職する場合は失業保険、65歳以上で退職する場合は、失業保険ではなく「高年齢求職者給付金」の支給対象となります。

60歳~64歳で定年退職し、失業保険の給付対象となるには?

60歳~64歳で定年退職した場合、下記の要件を満たせば失業保険の給付対象となります。

・離職前の2年間に12か月以上雇用保険に加入していること。

・雇用の予約や就職の内定または決定のない、失業状態にあること。

失業状態とは、次の条件をすべて満たす場合のことをいいます。

・離職し、現在職業に就いていないこと。

・就職しようとする意思と能力(健康状態・環境など)があること。

・積極的に就職活動をしていること。

定年退職後に、再雇用などで引き続き同じ企業に勤め続ける場合は支給対象外です。また、就職するつもりがない・病気やケガで就職できない・家事や学業に専念している・企業などの役員に就任している・自営業として働いている場合なども対象外になります。

給付額は?

失業保険の給付額は、退職前の賃金日額によって決まります。目安は、退職前6か月間の給与平均額の50%~80%(60歳~64歳の場合は45%~80%)。

ただし、給付額には上限と下限があり、令和5年8月1日から適用されている金額は、退職時の年齢が60歳~64歳の場合、基本手当日額の上限額は7,294円。下限額は全年齢共通で2,196円です。なお、基本手当日額は毎年度、平均給与額の変動に応じて変わります。

参考:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります ~令和5年8月1日から~」

給付期間は?

給付期間は、雇用保険加入期間・年齢・離職理由によって決定します。定年退職の場合は、一般の自己都合退職と同じ扱いとなります。以下の表を参照してください。

給付期間(自己都合退職の場合)

給付期間(自己都合退職の場合)

参考:厚生労働省「ハローワークインターネットサービス>基本手当の所定給付日数>2.1及び3以外の離職者」を参考にミラシル編集部で作成

「定年退職は自己都合ではない」と思う人もいるかもしれませんが、給付期間は、倒産や解雇などの会社都合で離職した場合よりも短くなっています。これは、定年退職日が前もって決められているため、再就職などの準備もある程度の余裕をもってできると考えられているからです。

定年退職後に失業保険を申請する方法は?

定年退職後に失業保険を申請する方法は?

定年退職した人が失業保険をもらうには、居住している地域を管轄するハローワークに本人が出向いて手続きします。具体的な手順は以下となります。

定年退職後に失業保険を受給するための手続き

参考:厚生労働省「雇用保険制度>Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~>Q6」を参考にミラシル編集部で作成

給付金を受け取れるのは、ハローワークに求職を申し込んでから約1か月半後になります。7日間の「待期期間」が明けてから約1か月間、就職活動の実績を積み、その期間の失業認定がなされると支給されるためです。

また、初回に失業認定を受けたあとも、4週間ごとの指定された日にハローワークへ行って失業認定を受けることで、給付対象と認められます。

定年退職後の失業保険を検討するポイント。

定年退職後の失業保険を検討するポイント。

定年退職後の失業保険を受給するにあたって、以下のことを知っておくとよいでしょう。

失業保険の受給期間中に再就職が決まったら?

再就職が決まれば、受給できる期間が残っていても給付は終了します。早くに再就職が決まり、かつ所定の要件を満たす場合は、再就職手当や就業促進定着手当などの「就業促進手当」が受給できます。

また、定年退職後に失業保険を受給し、再就職後に離職した場合も、12か月以上の雇用保険加入実績があり所定の要件を満たせば、再度、失業保険の支給対象となります。

受給できる期間は離職後1年間。

失業保険を受給できる期間には期限があり、原則として「離職した日の翌日から1年間」です。この期限を過ぎると、所定の給付期間が残っていたとしても、その期間は支給対象とはなりません。

定年退職の場合、最長受給期間は150日です。退職後ただちに手続きをしないと間に合わないというほどではありませんが、のんびりしすぎてしまうと期限が切れてしまうことも。失業保険の対象となる場合は、期限にも注意しましょう。

定年後にしばらく休養したい場合は?

とはいえ、長らく働いてきたので、定年後しばらくはゆっくり休養したり、趣味や旅行を楽しんだりしたい、と思われる人もいるでしょう。60歳~64歳に定年退職した人は、退職した日の翌日から起算して2か月以内に「受給期間延長申請書」「離職票」をハローワークに提出することで、最長で1年、受給期間を延長できます。

失業保険と老齢年金、両方を受給することはできるの?

65歳未満の場合は、失業保険と老齢年金を両方受給することはできません。ハローワークに求職の申し込みをした時点で、老齢年金の一部または全額が支給停止となります。

現行の制度では、65歳未満から年金をもらいはじめる「繰上げ受給」は、いったん手続きをすると取り消しができません。生涯にわたり、繰上げによって減額された年金額となるため注意が必要です。

65歳以上で失業状態の場合は高年齢求職者給付金。

65歳以上で、雇用保険の加入期間が、離職の日以前1年間に通算して賃金支払基礎日数(=賃金を支払うもととなった日)11日以上の月が6か月以上ある方が失業したときは、失業保険ではなく「高年齢求職者給付金」の支給対象になります。

支給額は、雇用保険加入期間に応じて、失業保険の30日分または50日分が一時金として支給されます。ただし、失業保険と同様に、働く意思と能力があり求職活動をすることが受給のための要件です。また、高年齢求職者給付金の場合は、老齢年金と並行してどちらももらえます。

定年退職後のライフプランをしっかり検討しよう。

定年退職後のライフプランをしっかり検討しよう。

定年後に失業保険をもらう前提には、「定年後も働くのか?」という判断があります。厚生労働省の調査によると、60歳以上の常用労働者は約442万人。2009年の約216万人と比較すると、約226万人増加しています。高齢になっても働き続けることのできる環境が整いつつあるともいえるかもしれません。

働くのであれば、どのような働き方をするのか?いつまで働くのか?40代~50代のうちから定年退職後のライフプランを検討し、準備を進めていきましょう。

参考:厚生労働省「令和4年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果を公表します」

勤め先の就業規則を確認しよう。

定年退職後のライフプランを考えるにあたり、定年など、勤め先の就業規則をきちんと把握しておくことは基本です。

「65歳以上の高年齢被保険者になる前に離職したほうが、失業保険を最大150日間もらえるからお得」と思われるかもしれません。

しかし、たとえば、就業規則によって「定年は満65歳(誕生日の前日)」と定められている場合、それより前に離職すると自己都合退職となり、退職金が減額されるケースも珍しくありません。退職届を出してから後悔しないよう、勤め先の総務や人事部門などに、しっかり確認しておきましょう。

定年退職後は仕事をしない場合。

定年退職後は再雇用も再就職もしないと考える人もいるしょう。定年退職が60歳~64歳の場合、以降は働かないという選択をすると、65歳で年金の支給がはじまるまで、収入が途絶えてしまうことが考えられます。

60歳で定年となった場合、繰上げ受給をしないなら、年金受給までの5年間、生活費だけでもまとまったお金が必要になります。年金支給がはじまるまでのこの期間をどうまかなうのか、これも大切なポイントです。

森本さんは「現在40代~50代の方であれば、会社または個人で確定拠出年金を利用している方も多いかと思います。確定拠出年金の受け取りを年金受取開始までの期間に設定するのもよいですし、民間保険会社の個人年金保険を活用するのもよい方法でしょう」といいます。

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定年後の備えに個人年金保険を活用しよう。

定年退職後に再就職を目指す場合は、失業保険の受給対象になる可能性が高いことがわかりました。定年退職後のライフスタイルをご自身の希望により近いものにするためにも、勤め先の定年にまつわる就業規則をしっかり確認しておくことが大切です。

また、定年退職したあとの収入減少に備え、ゆとりのある老後生活を楽しめるように、個人年金保険を検討してみるのもいいようです。

写真/Getty Images、PIXTA


森本 幸人   
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。証券会社勤務後、森本FP社労士事務所を開設。定年後を豊かに生きるためのリタイアメントセミナーを中心に、再就職や資産運用について全国で講演・セミナーを行う。


※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。   
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(登)C24N0021(2024.5.9)
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