断捨離のコツを提唱者が伝授!カテゴリー別断捨離フローで今日から実践。
片づけや掃除の時間が取れず、いつの間にか部屋の中にはいろいろなモノが増えてゴチャゴチャ。なんだか心までどんより……。そんな人におすすめしたいのが断捨離(R) (※)です。「断捨離とは、モノへの執着を捨てること」だと語る断捨離の提唱者・やましたひでこさんに、断捨離のコツや効果についてお話を伺いました。
※ 断捨離(R)はやましたひでこの登録商標です。
目次
- そもそも断捨離の意味とは?
- 断捨離で押さえておきたい2大ポイント。
- 断捨離のコツを掴んで実践する。
- カテゴリー別・よくあるお悩みとおすすめの断捨離のフロー。
- 断捨離はお金の使い方も変える。
- 断捨離で人生にゆとりを持とう。
そもそも断捨離の意味とは?
断捨離という言葉が広く浸透したことで、断捨離といえば捨てることだけが目的だと考える人も増えました。しかし、それは大きな誤解です。
断捨離は、「引き算」の視点を持つこと。
「断捨離」とは、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得て、生まれた言葉です。不要なモノを「断ち」、「捨て」、モノへの執着から「離れる」という考えを、日常の片づけに落とし込み、誰でも実践可能なメソッドにしました。
断捨離を構成する3つの漢字「断・捨・離」は、すべて“引き算”を意味する漢字です。片づけをするとき、“足し算”で考えることは得意でも、“引き算”で考えるのは苦手な人が意外と多いようです。
たとえば、散らかったモノをしまおうと、棚板や突っ張り棒などの収納グッズをさらに買い足して解決しようとしていませんか? これではモノが増える一方で、解決にはなりません。
断捨離は、人生の新陳代謝にもつながる。
人体と同じように住空間も、モノを取り入れたら消化・吸収したのちに、きちんと排出しなければいけません。モノをためこんだ家はどんよりとして、汚れやほこりがたまるだけでなく、カビやダニも発生しやすく、心身にまで悪い影響をおよぼしそうです。断捨離はそれらをスッキリ一掃して、“人生の新陳代謝”を促す発想の転換法でもあります。
断捨離で押さえておきたい2大ポイント。
断捨離は、単なる片づけのノウハウではありません。いざ断捨離を進める前に、どのようなことを心にとめておくといいのか、ポイントを紹介します。
「いつかどこかで何かに使えるかも……」という“思い込み”と決別する。
片づけをするときに大きな障害となるのが、「いつか・どこかで・何かに使えるかも」という思考です。たとえばクローゼットにしまいっぱなしで、数年袖を通していない洋服を「あと2キロやせたら着られるから……」と、再びしまいこんだ経験はないでしょうか。
しかし本当にその服を着たいなら、「やせて絶対に着よう!」という決意のもと、すでに行動を起こしているはず。
断捨離をするときは、未来ではなく、今の時間軸で考えることが大切です。洋服に限らず、いつか使う、誰かが使う、どこかで何かに使う……というのは思い込みにすぎません。私たちの生活空間や時間には限りがあることに気づきましょう。
断捨離にマニュアルはないと心得る。
断捨離にマニュアルはありません。モノを捨てるべきか、置いておくべきかの基準は人によって違いますし、自分で動いてみるうちにだんだんわかっていくものです。繰り返していくうちに判断がクリアになっていき、的確な行動を起こせるようになっていきます。まずは、自分でやってみるということが大切です。
断捨離のコツを掴んで実践する。
とはいえ、何から手をつければいいかわからない……という片づけが苦手な人のために、断捨離の進め方と方法を紹介します。コツを押さえれば、すぐに実践できるはずです。
“必要じゃないモノ”を1つ捨ててみる。
手はじめに、冷蔵庫の中を確認してみましょう。賞味期限切れのジャム、カビが生えている野菜など、もう食べられない食料はないでしょうか。明らかに必要ではないと言えるモノを実際に捨ててみることで、判断基準がはっきりしてくるはずです。
思い切って1つ捨ててみることで、捨てることへのハードルがグンと下がり、迷わず動けるようになっていきます。
見落としがちな場所から取捨選択の練習を。
断捨離は、モノに対する“執着”との闘いでもあります。服や靴、思い出の品などは、なかなか捨てることが難しい一方、シューズボックスの隅、冷蔵庫の奥、しばらく開けていない引き出しや押し入れの一角などに目を向けてみると、“そこにあることすら忘れていたモノ”が隠れていることも。
執着がまったくないモノなら、ためらうことなく捨てられるはずです。そこで取捨選択を繰り返していくうちに、自分の捨てる・捨てないの判断力が磨かれていきます。
「いつか必要になったらどうしよう……」の恐怖に勝つ方法。
モノを一つひとつ見極めているつもりでも、「やっぱり必要だった……!」ということもあるかもしれません。その瞬間を恐れて、捨てることを躊躇してしまう人もいるでしょう。
でも、心配はいりません。必要なモノは、また新しく手に入れればいいのです。たとえるなら、これまで厚着で身動きがとれなくなっていた自分が、一つひとつ脱ぎ捨ててすっかり軽やかになったけれど、やっぱり肌寒いと気づいた状態です。
ならば、今の自分によく似合うコートをまた新たに見つけましょう。この経験は、よりいっそうクリアな思考を手に入れるための大きな糧となります。
すっきりした部屋を保つ断捨離のマインドセット。
せっかく断捨離をしてすっきりしても、しばらくたつと、「またモノでいっぱい……」となり罪悪感を感じてしまうかもしれません。「リバウンドして当たり前」。モノが増えてしまったら、また断捨離をすればいいんです。
物事の善悪を判断するのは自分自身。罪悪感を感じることを止めてしまいましょう。「またモノが増えた」という事実を受け止めればいいんです。散らかった部屋をみて「不快に感じること」が大切です。
部屋で起きている事実が嫌だったら、それを解決しましょう。すでに断捨離をしているので、やり方はわかっているはず。「モノが増えた→断捨離」をやっていくうちに、すっきりした部屋になっていきます。
カテゴリー別・よくあるお悩みとおすすめの断捨離のフロー。
それでは、なかなか捨てることができないモノについて、カテゴリーごとによくあるお悩みと、どのように断捨離をしたらいいか具体的なフローを紹介します。
ファッションアイテム
クローゼットにいっぱい服が詰まっているのに、「着ていく服がない……」と悩む毎日。気分があがる服をさっと着て、ファッションを楽しみたいですね。
お悩み:高かった服や「いつか着るかも」という服。どう選別すべき?
購入時は、必要な服だったかもしれませんが、過去の気持ちのまま時間が止まっていませんか? 高い服は飽きがこないは大間違い。実は高価な服ほど、着る機会は少ないです。勝負服として買った服は、勝負が終わればおしまい。その場限りなんです。
買ったときは気に入っていた高価な服でも、「今の自分にとってどうなの?」と考えましょう。
お悩み:せっかく断捨離したのに、次のシーズンにまた服を買い足して同じことの繰り返しになってしまうのですが……。
服を買い足してもいいじゃないですか。必要なモノしか買わないなんて寂しい話です。すてきだと思った服を、衝動買いしてしまうこともあります。買うのを控えなくてもいいんです。
ただ「この服は失敗した……」と思ったら、素直に認めてすぐ手放しましょう。失敗を認めたくないから、タグがついたままクローゼットに入れてしまうんです。旬の服でしたら、誰かにあげても喜んでもらえますよ。
ファッションアイテムの断捨離フロー
クローゼット全体を見たときに、どんな雰囲気かを確かめます。
一つひとつの服には思い出があって気に入っているとしても、ぎっしりと服が詰まっているのは、俳優さんがぎゅうぎゅうの満員電車では魅力を出しきれないように、服の魅力を正しく感じ取れません。セレクトショップのように、お気に入りの服がゆったり並んでいる「空間」をイメージします。
ご自身がプロデューサーとなって、自分を一番輝かせてくれる服のオーディションをします。ポイントは「捨てるのではなく、選ぶ」です。気づいたときに少しずつ断捨離をしてもいいですし、「今日はオーディション日」と決めてクローゼットの服を全部チェックしてもいいです。
全部の服が気に入らないことがあるかもしれませんが、それが「あなたの気持ち」です。着る機会がない服は、手放しましょう! 自分が着る服くらい、「飽きちゃった」「嫌になった」でいいんです。自分の感性をモノを通じて確認するのが断捨離です。
本
いつか読みたいと思っている本やお気に入りの本がぎっしりで、新しい本を入れるスペースがない本棚。知らず知らずのうちに積んでいる本は、どのように断捨離したらいいでしょうか。
お悩み:読みかけの本やきれいな本。捨てるのがもったいない!
本の断捨離は難しいです。私たちは読んでいない本や、お気に入りの本を積み上げていたいと思うからです。「まだ読んでいない本がいっぱい」と自分を追い込むと辛いですが「この本を持っていると嬉しい」「眺めているだけで幸せ」と感じるなら、それでいいんです。そのときの自分の感性に合う本は、一気に読んでしまいますから、時期が来ていないのかもしれません。
ただ、本を最初から最後まで読まないといけないと思い込み、積んでおくのは止めましょう。読み始めて「何か違う」と感じて読むのがストップしていたら、自分が読む本ではないかもしれません。
本の断捨離フロー
クローゼットと一緒で、本棚という空間は限られています。断捨離のポイントは、本には「心を豊かにする本」と「情報を得る本」があることを知ることです。「心を豊かにする本」は本棚に残しましょう。一方、「情報を得る本」は、情報がどんどん古くなっているので、手放しても大丈夫。まずは、「情報を得る本」の断捨離をしてみましょう。
食器
毎日の食卓で並ぶ食器のほかに、お客さま用の食器や年に数回しか使わない食器など、「いつか使うかも」と思っているうちに、食器はたまってしまいます。
お悩み:まだ使える食器ばかり。どう整理すれば?
食器は「お料理を盛る役目」と、「お料理を演出する役目」があります。気分やお料理に合わせて食器を選べるように、すぐに取り出せる状態に整理したいです。服は似合う・似合わないがありますが、食器は自由に選ぶことができます。アート作品を飾る気分で食器棚を演出すれば、生活が華やぎますよ。
食器の断捨離フロー
断捨離とはモノを生かすことでもあります。1年に1回しか使わない大切な食器こそ、日々の食卓でどんどん使えばいいんです。ヒビが入ったり欠けたりしている食器、まったく使っていない食器があれば断捨離しましょう。そもそも食器は美しいモノです。飾っておきたくなる食器を選んでください。
趣味グッズ
推し活などで集めた趣味のグッズは、自分にとって大切なモノです。断捨離をためらっているうちに、グッズの山ができてしまっている人もいるのでは?
お悩み:大切にコレクションしてきたグッズ達。手放すタイミングは?
今、夢中になっていることなら、自由にコレクションをすればいいです。一つひとつがいとおしくて、大切に保管したり飾ったりするならいいですが、ぐちゃぐちゃに置かれていたら要注意。もしかしたら飽きているのかも。たとえば、同じ推し活仲間に引き取ってもらったら気持ちも落ち着きます。
趣味グッズの断捨離フロー
まずは、趣味グッズが部屋の中で、どのように扱われているかを確認しましょう。乱雑な状態だったら、自分の気持ちはその趣味から離れているんです。
「あのときは楽しかった」という思い出にひたり、現在の気持ちを見て見ないふりをしています。興味がなくなってしまったモノは、手放しましょう。今も夢中になっている趣味なら、大切に扱っていると思いますよ。
思い出の品
なかなか捨てられないモノの中に、思い出の品があります。プレゼントされたモノや子どもが幼い頃に使っていたモノなど、思い出が詰まったモノの断捨離はどのようにすればいいでしょうか。
お悩み:アルバムや貰い物、子どもが使っていたモノ……実用性はないけど思い入れがあるモノの整理の仕方は?
この質問は多いですが、本当に大切なモノはそもそも「どうしよう」と断捨離の対象にはなりません。整理の仕方で悩むということは、大切にしようという気持ちが終わっているんです。子どもが使っていたモノを捨てるのをためらうのは「だめな親なのでは……」という不安があるからです。自分の気持ちに気づきましょう。
思い出の品の断捨離フロー
それらの品に対する自分の気持ちを素直に認めましょう。「いらない」「邪魔だ」と思うなら、それでいいんです。「そういう気持ちなんだ」とわかること。モノを通じて、自己受容をして、今の私がどうありたいかを確認するのが大切です。
子どものモノは、子どもが要ると言っているか、要らないと言っているかを確認しましょう。親が不要と思っても、子どもが「とっておいて欲しい」と言うモノもあります。そこで「これはあなたにとって大切なのね」と、子どもの気持ちに耳を傾けてあげてください。
断捨離はお金の使い方も変える。
必要ではないモノを捨てていくことで、だんだん空間にゆとりができます。そうすると心の状態にも変化が訪れます。
執着から解き放たれた自由を手に入れる。
断捨離のうち、「断」と「捨」は「断つ」「捨てる」という行動で、それを繰り返すことで到達するのが「離」の境地です。それはすなわち、執着から自然に離れられた自由な心の状態を指します。モノに乗っ取られて身動きができない人生よりも、新陳代謝が適正にできる「離」の状態を目指したいものです。
断捨離は日々の積み重ね。
「断捨離はまとまった時間がないとできない」と思い込んでいる人がいますが、これは誤解です。断捨離は1日にしてならず。毎日たった5分、引き出しや財布の中にたまっているレシートを処分するだけでも構いません。日常の生活空間で常に「これはいる」「これはいらない」という選択・決断を続けることで、断捨離の考えが身につき、「離」の状態に近づいていきます。
本当に必要なモノだけにお金を使えるように。
「離」の状態になると、自分にとって本当に心地よいモノがわかるようになります。これはお金の使い方にも影響します。これまでのように「まあいいか」と、つい無駄遣いをしてしまい、自分を責める日々とはお別れです。自分にとって本当に必要なモノだけに出費できるようになれば、お金の使い方も自然と洗練されていきます。
断捨離で人生にゆとりを持とう。
以上、断捨離の極意をやましたひでこさんに解説していただきました。正しい断捨離を習慣化すると、空間と時間、お金にもゆとりが生まれ、生き生きとした人生を歩めるようになります。自分にとって必要なモノを選ぶ力は、上手なお金の使い方にもつながっていきます。断捨離を通して、気持ちや家計のゆとりについて考えてみませんか?
写真/PIXTA
【監修者】やました ひでこ
一般財団法人 断捨離(R)代表。学生時代に出会ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践できる自己探訪メソッドを構築。全国展開している「断捨離セミナー」は、年齢・性別・職業を問わず受講者から圧倒的な支持を得ている。最新刊は『モノが減ると「運」が増える 1日5分からの断捨離』(大和書房)。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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