20代って貯金いくらしてるの?若いからこそできる貯金額の増やし方を解説。
「社会人になってそろそろ貯金を考えているけど、いくらずつ貯めればいいのかわからない。そもそも20代に貯金は必要?」
働きはじめたばかりの20代は年収もまだ低く、お金の使い方や貯め方についての悩みが増える時期ですよね。
2022年に行われた厚生労働省の調査によると、世帯主の年齢が29歳以下の場合、1世帯あたりの平均貯蓄額は約245万円。
自身もミレニアル世代で、お金の専門家/金融教育活動家として活動する横川楓さんは、「平均的な貯金額の調査結果を見て悩む前に、まずはお金の使い方についてマイルールを決めてほしい」と話します。横川さん自身、お金の専門家でありながら自分の好きな人やモノを応援する「推し活」はお金を惜しみません。
「貯金も推し活もバランスが大切」と話す横川さんに、20代で決めたいお金のマイルール、自分らしい貯金の仕方や貯金を継続するコツを教えてもらいました。
目次
20代の貯金額は?平均貯蓄額や最新お金事情。
冒頭で述べたとおり、29歳以下が世帯主である場合、世帯の平均貯蓄額は約245万円。「貯蓄」なので貯金以外の金融資産も含みますが、それでも30代以降と比べて少ない金額となっています。
「20代の貯金額は収入や環境で大きく変わるので、人それぞれ違います。お金の使い方も同様で、若い世代は特に“自分”を主軸にした消費に意識が向いています。趣味や目標に向けてものを購入したり、副業のスキル磨きをしてみたり。自分の興味関心を中心に動く人が多いので、お金の使い方も多様化してきています」と横川さん。
自分の好きな「もの」や「こと」にお金をかけたいという傾向があるようです。
「そうはいっても、収入に限りがある20代ではそうそう好きにお金を使えるわけではありません。将来に不安を感じつつ、目先のお金で困っている若者は多いです。特にコロナ禍では収入が減り、もっと貯金しておけばよかったという声もよく聞くようになりました」
好きなものにお金を使いたい気持ちがある反面、貯金もしなければという思いを同時に抱え、お金のことで悩む20代が増えているようです。
1つ上の世代、30代の貯蓄事情についても知りたい場合は、次の記事をご覧ください。
20代から貯金をはじめる前に。
貯金について悩んだとき、ついつい「貯金額の目安はいくらか」「上手に貯金する方法や制度はないのか」といった情報を求めてしまいませんか?
しかし横川さんは、「貯金の目標額やお得な情報を探す前に、まずは現在のお金の使い方を記録して自分の問題点を把握してみてください」と話します。
そこで問題点の見つけ方や、20代でつくりたいお金のマイルールについて教えていただきました。
実は意外な支出が?家計簿アプリでお金の問題点をチェック。
「20代でお金に不安を感じたら、まずは自分のお金の使い方、収支の状況を記録してほしい」と話す横川さん。
横川さんのおすすめは、スマートフォンの家計簿アプリを活用した家計管理。家計簿アプリとは、キャッシュレス決済や銀行の口座と連携して日々のお金の動きを記録し、可視化できるスマホアプリです。コンビニでいくら、ネットショッピングでいくらというように、自分が日々の生活で何にお金を使ったのかが具体的にわかるようになります。
なんとなく使っていたお金がリアルな数字となって見えてくるので、食費や交際費、サブスクリプション代など、出費の問題点を把握しやすくなるでしょう。
「問題点を認識し、自分で解決への道を開くことが大切。これは貯金だけではなく、年金や税金などお金の制度全般にも言えることです。」
「たとえば、大学在学中も原則20歳以上は公的年金を支払うべきなのですが、学生は、収入もなく支払うことが難しい場合もあります(※1)。子どもの国民年金保険料の支払いが親の所得控除の対象になるため、親が払っているという場合もありますが、学生納付特例制度を使えば在学中の国民年金保険料の支払いを猶予してもらえるのです。」
「ただし、この制度は、自分で申請しなければ使えません。また、猶予してもらっていた期間分は年金保険料を納めていないことになるので、10年以内に追納をしないと、将来もらえる年金の額が減ることにも注意が必要です(※2、※3)。問題を把握して動けるのは自分だけです。預貯金が足りないのであれば行動を見直し、そのうえで何ができるのか、考えるようにしましょう」
参考:
※1 日本年金機構 「学生のみなさまへ」
※2 日本年金機構 「年金Q&A」
※3 日本年金機構 「国民年金保険料の学生納付特例制度」
無理はNG!お金のマイルールを決める。
お金の使い方や問題点を把握できたら、それを解決し健全な家計管理をするためのマイルールを決めましょう。
ルールは人それぞれですが、横川さんが20代におすすめするルールの考え方は以下の3つです。
- チャージ式のキャッシュレス決済を使った家計管理で無駄遣いをなくす。
- 自分の収入に適した無理のない貯金額を設定して貯金を習慣化。
- 自分が好きなことに使うお金は我慢しすぎない。家計はバランスが大切。
事前にチャージして使う電子マネーや、銀行の口座から即引き落とされるデビットカードをメインに使えば、実際にもっているお金以上に使いすぎることがありません。家計簿アプリと連携すれば「1日、何にいくら使ったのか」がデータとして明確にわかるため、使いすぎの歯止めになるでしょう。
毎月の貯金は、金額から決めるより、少しずつでも毎月貯め続けられる金額に決めましょう。貯金額は収入や環境に影響されるため、人と比べる必要はありません。
貯金に大切なのはあくまで継続とバランス、と横川さんは強調します。
「私は推しがいるので、定期的に推し活の費用が発生します。でも、ある程度突然ではあるものの、だいたい2か月~3か月先にイベントやグッズ発売が決まるんです」
「なので、来年の推し活のために一年の初めに予算を決めるといったことはできません。“数か月先にこれの発売があるから、この1か月2か月どうするか?”といったように、流動的に推し活の出費を考えていく必要があります。推し活は日々を楽しんで生きるために必要な経費。無理に我慢したり予算を決めたりするより、出費が多い月はそのぶん外食を控えるなどして、別の部分で調整するのがおすすめです」
ほかの人の「推し活とお金のお悩み相談」が見たい場合は、次の記事もご覧ください。
20代で貯金や貯蓄を増やす3つのコツ。
家計管理や貯金習慣の基礎が身についたら、次は貯金を増やす方向にシフトしましょう。
20代におすすめしたい貯金を続けるコツは以下の3つ。
- マイナス(借金)になることは避ける。
- まずは小さくやってみて、トライ&エラーを繰り返す。
- 仲間をつくるなどして貯金や投資を続けやすい環境を整える。
それぞれ、横川さんに詳しく解説してもらいましょう。
1. 収支がマイナスになることは避ける。
貯金では、増やすことより、減らさない対策が重要です。
横川さんは、「収入も貯金額も少ない20代のうちは、お金がマイナスになるような行為は極力避けてほしい」と警鐘を鳴らします。
たとえばキャッシングやクレジットカードによる借り入れ、仮想通貨やFXといったハイリスクな投資などがこれにあたります。
「クレジットカードはポイントが貯まるなどのメリットもありますが、後払いのため使いすぎてしまえば貯金残高以上の支払いとなり、取り返しのつかないことになる可能性もあります。また仮想通貨やFXといったハイリスクな投資も、相場の暴落によって大きい損失が出るリスクがあります。こうした行為は、貯金が少ない20代にはおすすめしません」
2. 投資は小さくやってみて、トライ&エラーを繰り返す。
貯金だけではなく、株式投資やNISAのような投資でお金を増やすことを考えている人もいるでしょう。
ただ、いざ投資をはじめるとなると怖くなってためらってしまう人も多いもの。投資相談を受けることも多い横川さんは、「怖いと感じるのは知識や経験がないから」と話します。
「なんでもそうですが、一度自分で体験してみないと何が合うかわかりません。最近は千円程度で株式投資できるアプリもありますし、NISAならネット証券で100円からはじめられる商品もあります。損しても痛手にならない程度の金額で試してみて、小さな投資体験を重ねてはいかがでしょうか」と横川さん。
横川さんが20代におすすめする投資は、NISA。特にNISAのつみたて投資枠で扱える金融商品は、金融庁が「長期の資産形成に適している」と認めた投資信託(ファンド)のみ登録されており、こまめに売買するのではなく長期の積立投資を目的として、初心者でも比較的安心して投資に挑戦することができます。
3. 仲間をつくるなどして貯金や投資を続けやすい環境を整える。
家計管理も貯金も投資も、地道に続けていくことが結果としてたくわえを増やすことにつながります。
とはいえ、わからないときに相談できる相手がいなければ不安ですし、続けるモチベーションも低下しがちに。そうした悩みを解決する方法として、横川さんがおすすめするのは以下の2つです。
- 自分で調べる習慣をつける(官公庁のサイトや関連本を読むなど)。
- 友達を巻き込み、サークル感覚で楽しみながら一緒に増やす。
「お金の話をYouTubeやネットで調べる方法もありますが、こうしたコンテンツは情報の正確性が担保されていないこともあります。そのため、たとえ難しくても一次情報である金融庁・国税庁など官公庁や日本銀行のサイトを見たり、出版社から刊行されていて校閲がされている本を読んだりすることに慣れてほしいです」
「お金の話をラフに話せる環境づくりも大切ですね。友達と同じ家計簿アプリを使って節約してみたり、NISAをやろうと誘ってみたり。同じ視点で話せる仲間の存在があると楽しく続けやすいのではないでしょうか」
ダイエットや筋トレなどは友達同士ではじめると、「彼女ががんばっているから自分も」という意識が働いて、効果が出たりしますよね。お金に関することも同様で、みんなで期間を決めて取り組んでみるのもアリ。1人では挫折してしまうことも、一緒にやればがんばれるはずです。
マイルールの習慣化で貯金上手に!
まとめると、20代で貯金をはじめるときに大切なのは、自分に合ったお金のルールづくりと習慣化です。
自分の正解は自分しかわかりません。日ごろの消費行動から問題点を把握し、自分にとってバランスのいい家計を考えてみてください。
お金に対して苦手意識をもつことがないよう、まずはできることからはじめてみて、楽しみながら金融リテラシーを高めていきましょう。
写真/Getty Images
横川 楓
経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に取り組んでいる。一般社団法人 日本金融教育推進協会代表理事。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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