【30代ママのあたふた保険ルポ②】教育費の味方、「学資保険」は何がどうお得?
※ 記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※ 文章表現の都合上、生命保険を「保険」、生命保険料を「保険料」と記載している部分があります。
3歳の子どもと暮らす30代イラストレーターの新里碧さん。前回の記事で、これからの人生に必要なお金をファイナンシャルプランナー・竹下さくらさんに相談したところ、今の準備では教育費に不安があることが判明! 実際のところ、教育費はいくら必要なのか。また、教育環境が家族に与える影響から教育費の味方といわれる学資保険のメリットまで、今どきのリアルな教育費事情を交えて解説します。
公立なら教育費は抑えられる? 私立との差はどれくらい?? 教育費の実態に迫る。
ママ同士でよく話題にのぼることのひとつが、子どもの進路。30代イラストレーターの新里碧さんは、ママ友の一言から「十数年間、家族旅行がお預けになってしまうほど私立進学はお金がかかるものなの?」と疑問に。実のところ、教育費はどれくらい必要なのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんが、教育費の全国平均の金額を教えてくれました。
小学校(6年間) | 中学校(3年間) | 高校(3年間) | 大学(4年間) | |
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公立 | ¥1,926,809 | ¥1,462,113 | ¥1,372,072 | ¥2,425,200 |
私立 | ¥9,592,145 | ¥4,217,172 | ¥2,904,230 | ¥4,690,467 |
下記出典資料をもとにミラシル編集部が作成。
出典:
・文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度) 表2 学校種別・公立私立別学習費総額合計の推移
・文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果概要」
・文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
「上の表をもとに計算すると、小学校から大学まですべて公立の場合、教育費の合計は約718.6万円です。また、高校と大学のみ私立の場合は約1,098.4万円、小学校から大学まですべて私立に進んだ場合は約2,140.4万円となり、後者の場合はすべて公立に進んだときと比べて約1,421.8万円の違いがあります」と竹下さん。さらに、首都圏の学校の教育費は、全国平均よりも高額になる傾向があるので、少し上乗せして見積もっておく必要があるのだそう。
たとえば、私立の小学校に進学した場合、合計を単純に6年間で割ると、1年あたり約159.9万円。つまり、教育費として月額約13.3万円の出費があることに。また、学習塾や習い事に通わせるとなったらさらに費用が必要です。
これを聞いた新里さん、「そもそも私立は考えていなかったとはいえ、私立だと月10万円以上も教育費がかかるとは想像もしていませんでした! 私の預貯金では厳しいかも……。それに、小学校から大学まですべて公立に通わせたとしても、子ども1人につき700万円強の教育費がかかるんですね。すぐに用意できる金額ではないので、しっかり準備しておかなくちゃ!」と、教育費が家計に与える影響が実感できてきたようです。
まわりの環境によって想定外の出費が!? 慌てないために家族で話し合いと準備を。
両親は公立に行かせたいと思っていたとしても、子どもに「受験したい!」と言われた学校が私立だったら……。「実は、教育に熱心な人が多かったり、評判の私立校があったりする地域ほど、こういうことは起こりがちなんです」と竹下さん。私立小学校や中学校の受験問題は、幼稚園や小学校での教育範囲を超えていることも珍しくなく、学習塾や家庭教師などで追加学習せざるを得ないのが実状だそう。もしも学習塾が家から離れていれば、送迎にかかる費用など、想定外の出費も考えておく必要がありそうです。
「お金が……いくらあれば足りるんだろう……」と、どんどん難しい顔になる新里さんを見て、「そんなに心配しなくても、お金は何とかなるものですよ!」と頼もしく元気づけた竹下さん。
「子どもの希望には応えたいのが親心ですが、必要最低限以上の教育費は『かかる』ものではなく『かける』もの。つまり、『かけない』という選択肢も選べます。それに、教育費は多くかければいいというものでもありませんから」
かけようと思えば天井知らずになることもあるという教育費。だからこそ、大事なことは「いくらかけられるか」だけではなく、「子どもをどう育てたいか」という夫婦での話し合いだそう。
「最新の教育事情に関して父親と母親で情報格差が生じがちなので、まだ時間の余裕があるうちに、子どもをどう育てていきたいかを冷静に話し合っておくのがおすすめです。お互いが私公立や学歴についてのこだわりがあるかどうかも率直に話したうえで、教育に『かけられる』お金と『かける』お金を考えていくといいと思います。『かける』お金、特に大学進学時に備えるお金は、学資保険や何らかの積み立てで準備しておくと安心です」(竹下さん)
新里さんも、「学資保険」という言葉は、ママ友との間で何度も耳にしてきたそう。「でも、何がどういいのか、実はよくわかっていなくて。私のようなフリーランスにもおすすめなのかどうかが知りたいのですが……」と竹下さんに尋ねると、「はい。おすすめですよ」と明るい答えが! 会社員かフリーランスかにかかわらず、6歳以下の子どもがいる場合は、学資保険を検討してみる価値があるのだそう。
必要なタイミングでお金を受け取れる学資保険。きちんと選べば加入して損はない!
子どもにかかる教育資金を貯める方法として、よく耳にする「学資保険」。自身で決めた一定の金額を、毎月積み立てていくという点は積立預金とよく似ていますが、中身をみていくと大きく違います。
「まず、学資保険は、お金に『教育資金』という色がつけられるのがメリット。お子さんを被保険者にして積み立てるからか、解約しづらいという心理が働くようです。これまでたくさんの家計相談を受けてきましたが、『生活が苦しくなったり、突発的にお金が必要になったりしても、学資保険だけは手をつけなかった』という声は多く耳にしました」(竹下さん)
また、竹下さんがお金の相談を受ける際、「投資と学資保険、どっちがいいですか?」という質問をよく受けるそうですが、「両方です」と答えているそうです。
「投資は、資金を効率よく運営することで資産を大きく育てられる可能性がありますが、ベストな解約どきを見通すのが難しいもの。元本より増えても減っても悩みがちです。それに対して、学資保険は、大学入学時などお金が必要になるタイミングに学資金や満期保険金を受け取れるので悩むことはありません。実際、『どっちもやっててよかった』という方が多いんです」
新里さんの場合、「『とりあえず貯金』の一部を学資保険に回す、というのが上手な使い方だと思います」と竹下さん。「子どものためのお金」という使用目的ができるので積み立てるモチベーションが上がるうえに、保険料は毎月、口座から引き落とされるので継続しやすいというのがおすすめの理由だそう。(※)
「なるほど、それならすぐにできそうです! 『教育費がいくらかかるか』ということばかりに目がいって不安になっていましたが、できることからはじめていけばいいんですね。あと、子どもはまだ3歳ですが、今のように“お受験”までまだ時間があるうちに、受験をするしないにかかわらず、夫婦で教育方針を話し合っておくと焦らずに済むということが、よくわかりました。こうやって、ひとつずつ解決しながら準備していくと、教育費という大きな山もぶじに越えられそうな気がします!」
そう話す新里さんは、人生で必要なお金について、少しずつ不安が薄らいできたよう。でも、人生3大資金のうち、老後資金のめどはまだあやふやなまま。次回は、老後資金をどう準備していくか、30代から考えておきたいことを解説します!
※学資金・満期保険金の受取総額が保険料の総額を下回る場合があります。また、解約返還金は多くの場合、保険料の累計額を下回ります。
【30代ママのあたふた保険ルポ③】
遠い先の話……ではない! 老後資金の準備は時間を味方につけるべし。
【30代ママのあたふた保険ルポ①】
目の前の出費に負けずに準備したい「将来のお金」って?
竹下さくら
ファイナンシャルプランナー
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。なごみFP事務所代表。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。損害保険会社や生命保険会社で経験を積み、1998年よりファイナンシャルプランナーとして独立。現在は個人のコンサルティングを主軸に、講演や執筆活動を行っている。『緊急対応版「奨学金」上手な借り方 新常識』(青春出版社)、『1時間でわかる やれば得する! 保険の見直し 100の鉄則』(技術評論社)など著書多数。
新里碧
イラストレーター
1984年、東京都生まれ。東京藝術大学を卒業後、外資系広告代理店のアートディレクターを経てフリーランスに。2012年、監修・デザイン制作を行った愛知県・作久島のマスコットキャラクター「あさりん」が、「ゆるキャラグランプリ2012」でみうらじゅん特別賞を受賞。自身の婚活経験を記した著書『アプリ婚~お見合いアプリで出会って1年で婚約→結婚しました~』(小学館)や、WEB『BE-PAL』でのイラストエッセイ連載など、取材や体験をもとにしたイラスト漫画が人気。
※ この記事は、ミラシル編集部が監修者への取材をもとに、制作したものです。
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