“部屋が片付けられない”はなんとかできる?タイプ別解決ヒント。
片付けなきゃ、と思うけれど「一人暮らしだし、まあいいか」「仕事が忙しいから」とあとまわしにしたり、片付けてもすぐ散らかる……とあきらめてしまったり。片付けが苦手! と悩んでいる人は多いのでは?
片付けの専門家・鈴木久美子さんは、「片付けられないことには理由がある。罪悪感を覚える必要はありません」と語ります。片付けられない人の悩みをじっくり聞きながら、生活スタイルに合った整理・収納・片付け方法を提案し、片付けの悩みを解決してきました。その経験をもとに、片付けのヒントを教えていただきました。
目次
- 誰でも悩む「部屋が片付けられない」には理由がある!
- 片付けられないタイプ別、ストレスフリーの整理・収納・片付け術。
- 片付けを習慣にしてキレイをキープするコツ。
- 【まとめ】片付けは幸せに暮らすための習慣。自分に合った方法ではじめよう。
誰でも悩む「部屋が片付けられない」には理由がある!

私は整理収納アドバイザーとして月に20件以上、ご家庭の“片付け”をサポートしています。お金をかけてまで片付けのプロに頼む人は、大きく2タイプに分かれます。
・インテリアにもこだわり、よりきれいな暮らしを望む人
・本当に片付けられない人(心の病を抱えているケースもあります)
そして、お金をかけてまではやらないけれど、部屋を片付けられないことに悩んでいる人はたくさんいらっしゃいます。まず、片付けられない人の傾向を説明していきましょう。
片付けられない人にありがちな傾向。
片付けられないケースを見ていると、多くの方が「自分はだらしがない」「ダメな人間だ」と感じているように思います。もしかしたらそれは、次のような心理的な傾向に関係しているのではないでしょうか。
1.今は忙しいから、あとでやろうと先延ばしにする
2.せっかくやるなら完璧に片付けなければ、と思う
3.手放すのがもったいないから捨てられない、片付けられない
4.片付けをするのが面倒くさい
5.散らかりすぎて何から手をつけていいのかわからない
思い当たる方がいらっしゃるかもしれません。さらに、“片付けられない”には理由があるのです。
片付け方を知らない。
現在、小学校の家庭科には、「整理整頓」の授業があります。しかし大人の世代にとって片付けは、「習うものではなく各家庭で身につけるもの」だったと思います。なかには片付けが苦手な家庭で育ってきた方もいらっしゃるでしょう。
私も、ものが多く片付かない家で育ち、友達を呼べない環境に少し引け目を感じていました。それが、大人になって整理収納アドバイザーになるきっかけになりました。片付けができないと悩む人もいますが、そもそも片付けとはどういうものなのかを知らない、ということも片付けられない一因にあると思われます。
方法を知らないのであれば、すっきりと片付いた暮らしがイメージできず、正解がわからないのは当然! 「片付けが苦手!」と思い込む必要はありません。
整理・収納・片付けは違うもの!
“整理・収納・片付け”を全部「片付け」ととらえていないでしょうか。実はそれぞれ別のもので、部屋をきれいにする手順は、下図のように3層のピラミッド構造で考えられます。

1.整理
部屋をきれいにする土台となる作業。ものがあふれている状態から、自分にとって必要なものと不要なもの、よく使うものと使わないものを見極め、選んでいく作業です。
2.収納
何をどこに置くか、定位置を決める作業。整理のプロセスで必要なものを選んだら、さらにそれを分類して、使用頻度や使うシーンに合わせて定位置を決めます。
3.片付け
使ったものをもとの場所に戻すこと。整理・収納というプロセスがあってこそできる作業です。
片付けとはとてもシンプルで「使ったものをもとの場所(定位置)に戻す」こと。片付けられないのは、整理・収納ができていないからです。
片付けのメリット:時間・お金・気持ちに余裕が生まれる。
整理・収納・片付けが習慣になると、次の3つのメリットを実感できるようになります。
1.時間
必要なものがすぐ見つかるので探す手間が省けます。例えばキッチンなら、食事の準備やあと片付けがスムーズになります。
2.お金
すでに持っているものが見つからずに、再び買い足してしまうこともあるのでは? また、つい服を衝動買いしてしまうこともありますね。片付けられていれば、同じものを買わなくなるでしょうし、整理することでどんな服が好きなのか、似合うのかがわかってくるので、衝動買いも少なくなるでしょう。
3.気持ち
「この部屋(家)が大好き! ここにいるとホッとする、幸せ!」と満足感を得られると、片付けることが好きになります。精神的な効果を感じるまでには少し時間がかかりますが、片付いた状態が心地よくなるはずです。
整理・収納・片付けのコツは、以下のようにまとめられます。
| 整理(捨てる) | ・自分にとって価値のないものから捨てる ・取捨選択に時間をかけない ・(片付けを思い立ったら)ものを増やさない ・自分にとって大切なものは無理に捨てなくてOK ・高かった、まだ使える、小さいからを捨てない理由にしない ・服や思い出のものは、整理がある程度進んできてから着手 ・選んだら、ざっくり分類する |
| 収納(しまう場所を決める) | ・使う場所の近くに置く ・よく使うものほど、出し入れしやすい場所を定位置にする ・出し入れする際のアクション数を減らす(出し入れが面倒になる収納はNG) ・ものをギュウギュウに詰め込まない |
| 片付け(しまう) | ・ラベリングする ・使ったら必ず定位置に戻す ・夜寝る前、週末など、自分なりの片付けのルーティンを決める |
実際にどう進めればよいのか、片付けられないタイプ別に説明していきましょう。
片付けられないタイプ別、ストレスフリーの整理・収納・片付け術。
最初に説明したように、片付けられない人には傾向があります。そのタイプごとに解決策を見ていきましょう。
「あとでやろう」の先延ばしタイプ:着手のタイミングを決める。
忙しいから、予定があるからと、すぐにできないこともあります。でも、あとであとでと無限に先延ばしせずに、数分でできることもあるはず。まず片付けのタイミングを決めましょう。「週末に片付け」「子どものおもちゃは1日1回、寝る前に片付け」など、自分のタイミングでOKです。
「やるなら完璧に!」の分類タイプ:ほどよくざっくり収納する。

「細かく分類したほうがわかりやすい」と考えがちですが、普段使うものを場所や用途ごとに分けすぎると片付け自体が複雑に。ジグソーパズルと同じで、ピースは少ないほど単純でわかりやすいものです。
分類は、ほどよくざっくり。そのほうが上手くいきます。
「まだ使えるかも」の捨てられないタイプ:「使う・使わない」の整理から。
ものを捨てられない2大理由は、“まだ使えるから”と“小さい(場所を取らない)から”。私が訪問した家でも、サイズが合わなくなったブランドの服がクローゼットに保管されていたり、パンの袋を留めるクリップを捨てずに大量にためていたりというケースがありました。
どんなに高価だったり小さかったりしても、普段使っていないなら、自分にとって片付けの邪魔になる不要なものかもしれません。ここは思い切って、使う・使わないを整理して、不要なものを捨ててみましょう。
「やる気がない」の動きたくないタイプ:「なりたい自分」をイメージする。
せっかくの休みに片付けしたくないな~、と思うのもわかります。まずどんな暮らしがしたいか、どんな自分になりたいかをイメージしてみましょう。
今の暮らしのままでいいなら、無理に動かなくてOK。でも、「あのコーナーを片付けて、植物を置いたらいい感じになりそう」「この前雑誌で見たような部屋に住みたいな」というようなことを思ったら、30分だけ動いてみませんか?
ただ、平日は精力的に仕事に励んでいるのに、休日になると片付けどころか趣味にも興味がわかず、寝て過ごしてしまうような場合は、体と脳が疲れ切っているのかもしれません。
「どこからやればいいの?」の呆然タイプ:ハードルの低いものから着手する。
服やコレクションの整理などからはじめていませんか? まずは段ボールや紙袋、雑誌など、捨てるハードルが低いものから着手するのがコツ。思い切って処分すればなくても意外と困らないことがわかって、やる気が出てきます。
「どうせまた散らかる」のあきらめタイプ:片付ける時間を決める。

出しっぱなしの言い訳になりやすいのが、“またすぐ使うから”。でも、牛乳を飲んだら冷蔵庫にしまいますよね。しまわないと傷んでしまう、とデメリットをわかっているからです。
人は、自分にとってのメリット・デメリットを感じたときにしか動き出せないもの。出しっぱなしのまま使い続けて、結局どこにいったのかわからずに探す時間はデメリット、と認識しましょう。「先延ばしタイプ」と同じように、「散らかったものの片付けは1日1回、子どもが寝てから」などと片付ける時間を決めてしまうのもおすすめです。
また、家庭で主に家事を担う人の「散らかすのはパートナーや子どもなのに、なんで自分だけが?」と怒りたくなる気持ちもわかります。私も、2人の子どもが小さいときは家事と育児に追われて、さらに片付かないことにイライラし、そういう自分が嫌になっていました。
そんなときは、一呼吸おいて、「自分が気分よく暮らしたいから、自分のために片付けをしよう」と気持ちを切り替えてみてはどうでしょう。
「まずグッズから」の先走りタイプ:ものの定位置を決めるのが先!

収納グッズを買って安心してしまうケースもありがちですね。たとえるならダイエットをする前にサイズダウンした服を買うようなものです。私も実際に、購入したグッズが使いにくく、結局無駄になるというケースをたくさん見てきました。
まずはものの定位置を決めることです。定位置が決まれば、どんな収納グッズが必要か明確になります。収納グッズを買うのは最後のごほうび、くらいに考えておきましょう。
片付けを習慣にしてキレイをキープするコツ。
整理・収納・片付けを習慣にして、片付いた状態をキープする方法を考えてみましょう。
片付け前後を写真に残す。
散らかっている状態を客観視するためには、部屋の写真を撮るのがおすすめです。きれいに片付けができたら、それも写真に撮っておくと、この状態をキープしよう、というモチベーションアップにとても役立ちます。
下の写真は、私が実際に片付けの依頼を受けた、一人暮らしの方の部屋です。整理も収納もされておらず、引っ越しから1年たっても段ボール箱に入れたまま使っている状態(before)で、どこに何があるのかわからなくなっていました。また、自宅で仕事をすることも多いとのことで、片付いたらデスクを置きたいと希望されていました。
ものを取捨選択し、定位置を決め、片付いた状態(after)だと、見た目がすっきりとするだけでなく、部屋で仕事をする・くつろぐ・楽しむという時間の区切りが生まれ、暮らしの質がアップします。

衝動買いをしない・無計画にものを買わない・増やさない。
ものを増やさないことを意識しましょう。どうしても買ってしまう人は、「1つ捨てる」ことを実践してみてください。
ものを捨てるときには多少なりとも心が痛みます。整理する過程でその痛みを幾度か経験することで、逆にものを買うときに吟味するようになり、衝動買いは自然に減っていくと思います。
使ったものはもとの場所に。
使ったものは定位置に戻す、これが鉄則です。頻繁に使うものほど、“扉を開けて、片手で出せる・戻せる”など、出し入れするときのアクション数を少なくすれば片付けやすくなります。
また、保育園やオフィスのように、収納場所にラベルをつけるのもおすすめ。下は、私が自宅でラベリングしているボックスです。一目でわかりやすく、家族とも共有しやすくなります。

「ごほうび」をもうける。
片付けのあとは“ちょっといいお菓子でティータイム”など、自分のモチベーションを上げる小さなごほうびもセットにしておくとルーティン化しやすくなります。
【まとめ】片付けは幸せに暮らすための習慣。自分に合った方法ではじめよう。
片付けは、幸せに暮らすための習慣だと思っています。ものがたくさんあることは決して悪いことではないですし、思い入れのあるものまで無理して捨てる必要はありません。自分にとって必要なものを選んで使い続けるのは、ものを大切に扱うということ。ひいては暮らしを大切にしていることにつながります。
片付けがちょっと面倒だと感じることもあるでしょうし、疲れてできないときがあってもOK。自分に合ったやり方で、片付けをはじめてみてはいかがでしょう。すっきり片付けたら気持ちいい、友達を呼んで楽しく過ごせるなど、何のためにやるのか、自分がどんな暮らしをしたいのかをイメージして、片付けでハッピーになってください。
イラスト/こつじゆい 写真提供/鈴木 久美子
【監修者】鈴木 久美子
整理収納アドバイザー。整理収納アドバイザー2級認定講師・整理収納アドバイザー1級・クリンネスト1級の資格を持ち、片付けや収納の悩みを解決する専門家。個人宅での訪問サポートやオンラインでのアドバイスも行う。SNSでの情報発信、TV・メディア出演も多数。
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