保活はいつから?スケジュールと生まれ月やタイミングでおさえておきたいポイント。
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「保活」とは、子どもを保育園に入れるために保護者が取り組む活動のことです。「『保活は複雑で大変!』とよく聞くけれど、いつから何をはじめればいいの?」 という疑問に、「保育園を考える親の会」アドバイザー顧問の普光院亜紀さんがお答えします。
目次
なぜ保活が必要なの?
共働き世帯が増えたことなどを背景に、保育園に入れない待機児童数が増加し、2017年には全国で2万6,081人に上りました。しかし、2023年には2,680人まで減っています(各4月1日時点)。
保活が本当に大変だったころに比べると、国や自治体による子育て支援が進み、状況は改善されつつあるようです。また、共働き夫婦にとって心強い味方である育児休業制度も、保育園に入園できなかったなどの正当な理由があれば、原則1歳までのところを最長2歳まで延長できます。
それでも、保活に苦労するのはどうしてなのでしょう。
参考:
こども家庭庁「『保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)』を公表します」(参照:2023年12月27日)
厚生労働省都道府県労働局雇用環境・均等部(室)「『育児休業』の延長を予定されている労働者・事業主の皆さまへ」
保活は複雑で難しい?
保育園にはいろいろな種類があり、大きく分けると「認可保育園等」と「認可外保育施設」があります。
認可保育園等 | 認可外保育施設 |
・認可保育園 ・認定こども園 ・地域型保育事業 | ・認可外保育園 ・自治体独自の認証保育園 ・認可外の事業所内保育 ・ベビーシッター など |
参考:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要」をもとにミラシル編集部で作成(参照:2024年7月2日)
「認可保育園等」には、国が定めた基準を満たし、自治体が認可する「認可保育園」「認定こども園」「地域型保育事業」(家庭的保育事業や小規模保育事業など)などがあります。それ以外の保育施設が「認可外保育施設」です。
保育園を選ぶ際には、地域にある保育園の種類や、どんな特徴があるのかをまず情報収集して、子どもの年齢・月齢や保護者の勤務時間など、条件に合うかどうかを見極める必要があります。
特に認可保育園の入園に向けた保活が複雑。
保育園・保育サービスの中で、一般的に多くの世帯が希望するのが認可保育園です。各施設に直接申し込む認可外保育園に比べると、役所を経由する分、認可保育園利用のルールや手続きは複雑になります。
基本的に市町村および東京23区(以下、市区町村)の事業として実施され、入園希望者は個々の保育園ではなく各市区町村に申し込み、各市区町村が入園者を選考します。
保活スケジュールについては後述しますが、多くの人が入園申込に動く「4月入園」を目指す場合、認可保育園等は、自治体に入園申込を行うため「各ステップを行うべき時期」があります。これに対して、認可外保育施設 は、認可保育園等の申し込み受付に先駆けて予約受付をする施設、認可保育園等の結果が出てから受付をする施設など、さまざまです。
認可保育園の入りやすさは地域差が大きい。
認可保育園に入れる競争率は、地域差が大きいのが現状です。年度末の3月(一部の市区町村は2月・3月)を除き、いつでも入園可能な地域もあれば、人口の多い都市部などでは、4月1日に定員枠がほとんど埋まってしまう地域もあります。こうした保活激戦区では認可保育園入園のハードルが高く、保活がさらに複雑で難しくなることもあるようです。
大切なのは早めに動くこと。
自分が住んでいる地域の状況や、どんな保育施設があるかを情報収集し、「ここなら安心して子どもを預けられる」と納得できる保育園を選ぶことはとても重要です。
情報収集は、子どもが生まれる前からでもはじめられます。また、育児休業を取得予定の方は、早めに保育園について調べておくことで、職場復帰の時期について上司と、より具体的に相談することもできるでしょう。
就職したいけど、保活・就活どっちを優先すべき?就活はいつから?
自治体の入園選考で「保育の必要度が高い」と判定されると保育園に入園しやすくなるため(詳しくは後述)、「求職中だと入園できないって聞いたことが……」と心配している方もいるかもしれません。
ただし最近は、年度前半の0歳児クラスに空きがあるところが増えています。入園希望者が定員に満たなかった園・クラスには、「求職中」など優先順位が低い場合でも入園できます。「求職中」で入園する場合は、「入園後3か月以内」など自治体が定めた期限内に就職できれば、継続して在園できます。
もちろん、入園してから就活してもいいのですが、希望の業界や職種がある人は早めに情報収集をはじめるとよいでしょう。
保活はいつから?何をすべき?
各市区町村では、年間を通して保育園利用の申し込みを受け付けています。ここでは、入園申込がもっとも集中する4月に、0歳児クラス入園を目指す場合の保活スケジュールをご紹介します。現在妊娠中の方は、自身の仕事や求職活動、出産のタイミングなども考慮しながらスケジュールを検討していくとよいでしょう。
※ 詳しい日程は市区町村ごとに異なります。必ずご自身の住む市区町村の最新情報を確認してください。
0歳児・4月入園の保活スケジュール。
子どもが0歳で4月に入園するケースの保活スケジュールを、確認してみましょう。
なるべく早いタイミング:情報収集をスタート。
まず、お住まいの 市区町村の「保育課」などで「認可保育園の入園についての案内」を入手し、大枠の内容をつかみ、疑問点があればメモしておきましょう。条件に合いそうな保育園を複数リストアップしておくのがおすすめです。
気になった園については、生後何か月から預けられるのか(認可保育園の中には0歳児クラスがなく、1歳児からの園もあります)、保育時間や通園手段(雨や雪など悪天候のときでも無理なく通えるか)、ベビーカーを園に置いていくことはできるか、など、いろいろな角度からより現実的な視点で利用可能かどうかを確認します。
入園希望前年の5月~8月ごろ:保育園見学や役所窓口での相談。
次に、リストアップした保育園の見学や、説明会に参加しましょう。施設や保育の様子を自分の目で確かめることはとても重要です。
最近は、感染症予防のため、見学期間を限っている園もあります。各保育園に確認して見学の予約をし、できれば夏ごろまでに行っておくと安心です。また、市区町村の役所の 窓口で疑問点などを相談する場合も同様です。秋になると窓口が混雑し、待ち時間が長くなることも考えられます。
9月以降生まれの場合、見学はどうする?
見学は妊娠中でも可能です。出産後はしばらく外出が難しくなるので、妊娠中(ただし安定期)に見学してしまうのもよいでしょう 。ただ、子どもが1歳以降になってからの入園や仕事復帰を考えている場合は、見学で混みあわない時期を選んで出産後に見学しても大丈夫です。
9月~10月ごろ:新年度向け「入園案内」を入手し、申し込みの準備を進める。
新年度用の入園案内は、申込開始の約1か月前に出ます。WEBサイトからダウンロード・冊子を市区町村の窓口で受け取る・郵送などの方法で必ず入手し、前年度からの変更点などもしっかりチェックしておきましょう。市区町村への提出書類には、職場などに作成を依頼しなければならないものもあるので注意します。
10月~11月ごろ:市区町村に保育園入園の申し込みをする。
必要な書類をそろえて申し込みをします。その際、窓口に持参する場合や、郵送、ホームページからなど、申込方法や提出期限を必ずチェックしておくようにしましょう。また、書類などに不備があったときに備え、日程には余裕をもっておくと安心です。
1月~2月ごろ:一次利用調整(入園選考)の結果が届く。
希望を出した保育園のいずれかに内定(入園できる)、または保留(入園できない)の通知が届きます。
2月ごろ:二次募集の申し込みをする。
一次利用調整の結果が「保留」の場合は自動的に二次申込にまわります。ここで、希望する保育園を変更することも可能です。
3月ごろ:二次利用調整(入園選考)の結果が届く。
この時期、二次利用調整の結果通知が届きます。
4月1日:一次・二次利用調整で入園が決まった保育園に入園。
一次、または二次の利用調整で入園が決まった保育園に入園します。
12月生まれや早生まれの子どもの場合は?
4月入園の申込期間は秋ですから、それ以降に生まれる子の場合、申し込むことはできないのでしょうか?誕生時期別の注意点は次の通りです。
12月生まれ~2月4日生まれ。
出産予定日が4月入園の申込締切以降の場合でも、予定日をもとに仮申込ができる市区町村もあります。
ただし、産休明けすぐの入園が不安な場合は、年度前半は0歳児クラスに空きがある園が多くなっているので、無理をしないで年度途中入園を目指すのもよいと思います。例年何月まで空きがあるのか、0歳児クラスの定員変更はないかなど、自治体の窓口で情報を収集して復帰時期をさぐるとよいでしょう。
2月5日生まれ~4月1日生まれ。
出産が2月5日以降になると、4月1日時点では、法律で定められた産休明け(つまり生後57日以上)に満たないため、生まれた年の4月に0歳児クラスに入園することはできません。生後57日を過ぎて年度途中の0歳児クラス入園か、翌年4月の1歳児クラス入園を目指します。
育休延長の増加で1歳児クラスの競争率が高くなっている園もあるので、4月時点での1歳児クラスの入園状況と、年度途中の0歳児クラスの入園状況を比較して確認しながら、 入園のタイミングを検討していくとよいでしょう。
認可外保育園も見学に行ったほうが良い?見学のポイントは?
認可外保育園は、施設ごとの違いが大きいので見学は必須です。各施設に直接問い合わせ、利用の申し込み前に見学をしておきましょう。見学は、子どもがのびのびと過ごせて快適な環境が整っているかを確かめる大切なステップです。園全体の雰囲気や子どもたちと保育者がどのように接しているか、保育室にいる人数や衛生面、安全対策などを確認しましょう。
保活を進めるポイントは?
保育園を検討する際に気になるのは、希望する保育園・クラスの競争率がどのくらいか、ということ。これを知る手がかかりはあるのでしょうか?
5月に公開される4月の入園状況を要チェック。
多くの市区町村では、毎月の保育園ごと・クラスごとの入園希望者数・入園者数・現在の空き状況などを公開しています。入園状況の詳細を公開していない場合でも、5月の空き状況を見ることができれば、4月入園の入園状況がわかります。5月に空きがある園・クラスには、4月入園の希望者は全員入れたことになります。
ただし、過去の空き状況を公開していない自治体も多いので、その場合は窓口で希望園・クラス・入園月を特定して聞けば教えてくれるはずです。
激戦が予想されるときは、園の候補を多めにリストアップしておきましょう。復職や就職の予定を変更したくない場合は、認可外保育園についても調べ、入園予約をしておくと安心です。
また、自分の住む地域のことについてアンテナを張っておくことも大事です。たとえば大規模なマンションができ、若い世代がたくさん入居してくれば保育需要は変化します。地域の子育て支援センターなどで、育休中ママたちにリアルな保育園の様子や保活の話を聞いてみるのもよいでしょう。
1歳児入園は0歳児入園よりも競争率が高い?
0歳児クラスのある保育園では在園児が進級するため、1歳児からの新規募集枠は少なく、4月入園であっても激戦になりがちです。最近は、育休を延長する人が増えているために1歳児クラスの競争率がアップしている園もあります。
0歳児クラスがない園は、1歳児クラスの定員の全員分が4月に募集されるため、0歳児クラスがある園よりは入りやすくなっています。
入園できるかどうかはどうやって決まる?「利用調整」って何?
同じ保育園に定員を超える希望者がいる場合、入園できるかどうかはどのように決まるのでしょう?
より必要度の高い子どもが優先される。
認可保育園の入園選考は、より保育の必要度の高い子どもが入園できるように、それぞれの家庭における保育の必要度を点数(指数)で表し、より点数の高い子どもから入園が決定します。これを「利用調整」といいます。
基本的には、保護者の就労などの状況にもとづいた「基準指数」に、子どもや家庭の状況に応じた「調整指数」を加点・減点し、その合計点で選考されます。同じ指数で複数の方が並んだ場合の優先順位についても決められています。
また、一部の市区町村では、保育園・クラスごとの入園可否のボーダーラインとなった点数を公開しているところもあるので、参考にするのもよいでしょう。
※ 利用調整は市区町村が定めた基準にもとづいて行われます。
参考:内閣府「子ども・子育て支援新制度における利用調整等について」(2014年)(参照:2023年12月27日)
思い通りに保活が進まない!推奨スケジュールから遅れたら……。
「地域や園によって状況が異なるので、早めに調べたり行動しましょう」とおすすめしていますが、実際は思い通りにいかなかったり、逆に思ってもいなかった道が開けたりするケースも多いものです。
出遅れてしまったとしても、情報収集から地道にはじめてみてください。その時点でのベターな選択肢を探していけば、きっと自分なりの選択肢が見つかります。
一時期より、保育施設には入りやすくなっていますし、育休を取っている方には延長制度もありますので、道はさまざまに広がっています。あまり焦らず、職場や自治体の窓口にも相談しながら、納得のできる保活・就活をしましょう。
認可保育園に入れなかった場合はどうする?
予定していた認可保育園に入れなかったけれど、できるだけ就業や職場復帰を遅らせたくない場合は、どうしたらよいのでしょうか?
認可外保育園の利用を検討する。
先述した通り、保活の一環として認可保育園に落ちた場合の預け先として認可外保育園を予約しておく方は多いようです。認可外保育園は園の環境の差が認可保育園以上に大きいので、保育の様子や設備などをよく見極めたうえで、市区町村から補助金が出るなど条件がよく、信頼のおける施設を確保しておくことも重要です。
ベビーシッターなどの利用を検討する。
認可保育園に入れなかった場合、決まるまでのつなぎとして、ベビーシッターや一時保育サービスの利用も考えられます。利用料の一部を補助する自治体もありますが、費用はどうしても高額になりがちです。近くに祖父母が住んでいて協力を得られる場合には、うまく組み合わせて、負担を分散する方法を探ってみるのもいいかもしれません。
育休の延長を検討する。
職場復帰は遅れてしまいますが、保育園に入園できなかった場合、手続きをすることで、育児休業の延長(1歳6か月まで)・再延長(2歳まで)が可能です。育休を延長して1歳6か月までに保育園入園が決まらない場合は再延長手続きを忘れずに行いましょう。
延長手続きには、その月(1歳になる月もしくは1歳6か月になる月)の認可保育園等の入園についての不承諾通知が必要となります。
保活も教育費も早めの準備が大切!
大切なわが子の預け先は後悔のないように選んでいきたいもの。保活は計画的に早めにスタートし、納得のいく預け先を選ぶようにしましょう。
認可保育園に入れなかった場合、どうしても出費はかさみがちになります。ですが、利用申込を続けていればチャンスは巡ってきますし、「幼児教育・保育の無償化」によって、3歳児クラスからの保育料は基本無償となります。
一時的には出費が多くなっても、さまざまな保育サービスを利用して仕事を続ける・はじめることで、中学・高校・大学と子どもの学費負担が増すころに、働き続けてきたことが大きな強みになります。
あわせて、子どもが生まれてすぐのころから学資保険などを活用して、少しずつ学費を準備していくと、より心強いはず。保活も教育費の準備も、早い時期から時間をかけて計画的に行っていくことが大切です。
写真/Getty Images
【監修者】普光院 亜紀
保育園に子どもを預けて働く親のネットワーク「保育園を考える親の会」代表を経て、現在はアドバイザー(顧問)として活動。保育ジャーナリストとして執筆・講演も行っている。著書に『後悔しない保育園・こども園の選び方』(ひとなる書房)、『不適切保育はなぜ起こるのか』(岩波新書)など。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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