赤ちゃんが言葉を話すのはいつから?発語を促すかかわりを言語聴覚士が紹介。
赤ちゃんがごきげんに声を出しているのを聞いて、話しはじめる日を待ち遠しく思っているママ・パパは多いでしょう。赤ちゃんはいつから話しはじめるのでしょうか? また、赤ちゃんの言葉の発達のために、親が意識するとよいことはあるでしょうか? 言葉の発達に詳しく、子どもの言葉に関する相談・支援を行っている言語聴覚士の寺田奈々先生に聞きました。

目次
- 赤ちゃんが言葉を話しはじめるのはいつから?
- 赤ちゃんはどうやって言葉を学んでいるの?
- 赤ちゃんの発語を促すかかわり方、コツってあるの?
- 赤ちゃん言葉は使ってもいい?正しい言葉につながるの?
- ママ・パパと赤ちゃんの日々のやりとりが赤ちゃんの言葉を広げる。
赤ちゃんが言葉を話しはじめるのはいつから?

赤ちゃんが「ばばばば」と声を発すると、「おしゃべり上手ね~」と声をかけられることもありますが、言葉を話しはじめるというのは、ものの名前など、“意味がある言葉を話していること”を厳密には指します。
言葉の発達には個人差がありますが、おおよその流れとしては、次のとおりです。生後間もなく、泣くことからはじまり、生後2カ月~3カ月ごろにクーイングといわれる発声が聞かれだします。そして生後5~6カ月ごろになると喃語(なんご)といわれる、子音と母音を組み合わせた音を連続で出すようになります。
1歳ごろになって、意味のある言葉が出はじめます。意味のある言葉は、初語(しょご)と呼ばれます。さらに1歳6カ月を過ぎるころにぐんぐんと語彙が増えだし、2歳前後では二語文を話しだします。
赤ちゃんはどうやって言葉を学んでいるの?

おおよそ生まれて1年ほどで、赤ちゃんは意味のある言葉を話しはじめるわけですが、唐突に、話しはじめるわけではありません。話しはじめる前から、少しずつ準備をしています。
言葉を話すためには、(1)音の理解、(2)心の発達、(3)体の発達が必要です。これらの発達がバランスよく進んでいくことで、発語につながっていきます。具体的に紹介します。
言葉の発達のカギ(1)音の理解。

赤ちゃんの周囲からは、毎日いろんな音が聞こえてきます。音源定位と言って、音がするとその方向に目線を向けたり、顔を向けたりするようになっていきます。そして、音が発生する場面や状況と音源を結びつけてどんな音がするのか理解できるようになっていきます。場所を見なくても何が起こっているかを推測することができるようになります。
たとえば、冷蔵庫を開ける音がすると、「何かもらえるのかな?」とワクワクしたり、鍵が開く音やドアが開く音がすると、「パパが帰ってきたのかな?」と玄関に向かっていったりというようなことができるようになります。
生活音や環境音に比べると、言葉で使われる言語音はもっとずっと複雑です。赤ちゃんはおなかの中にいるときからママの声を聞いていますが、クリアに聞きはじめるのは生まれてから。
養育者が話す言語や、赤ちゃんがはじめに出会う言語を母語と言いますが、話しはじめるよりも前の0歳代の時期から、母語で使われる音とそれ以外の音を聞き分けていく力が発達していきます。まわりで話されている言語の音を聞いているうちに、赤ちゃんも似た音をだんだんと出せるようになっていきます。日本語が母語の赤ちゃんは、生後6カ月くらいには母語である日本語の母音「あ・い・う・え・お」に近い響きの声を出しはじめます。
言葉の発達のカギ(2)心の発達。

赤ちゃんの好奇心は、まず人に向けられます。じっと見つめ、表情やしぐさを熱心に観察します。やがて、自分とまわりの人が違う存在だと気づきはじめると、家族とそうでない人の区別がつくようになり、人見知りや後追いをはじめるようになります。
さらに成長するにつれて、相手の視線の先を追ったり、指さす方向に興味を示したりするようになります。そして、自分が何かを持っているときにママが近づいてくると、持っているものとママを交互に見比べて、それを差し出すような行動も見られるようになります。
このように、まわりの人とかかわり、相手の行動を理解しようとすることが、コミュニケーション能力の基礎を築いていくのです。
言葉の発達のカギ(3)体の発達。

生後間もない赤ちゃんの声は、新生児特有のくぐもった声です。しかし、成長とともに呼吸・発声機能が発達し、声が変わっていきます。鼻と口を同時に使って出す発声だけでなく、口から出すクリアな響きの声が出せるようになっていきます。
また、おしゃべりには唇や舌の動きも重要です。おっぱいやミルクを飲んでいる赤ちゃんは決まった方向にしか口や舌を動かせませんが、喃語の時期に動きのバリエーションがだんだん増えていきます。食事で口やあごをしっかり使うことも体をつくっていくことにつながります。
生後5カ月~6カ月ごろになると、喃語がはじまります。「ばばば」のような単純な音からはじまり、「あじゃだだだ」のように複雑な音の組み合わせを発するようになります。赤ちゃん自身が、自分がどんな声を出せるのかいろいろ試して、声帯や口の使い方を練習しているのかもしれません。
赤ちゃんの発語を促すかかわり方、コツってあるの?

では、赤ちゃんの発達を促し、言葉が出るようにするには、どのようなかかわり方をしたらよいでしょうか。
どの年齢でも共通して言えるのは、“やりとり”を心がけることです。言葉の発達において大切なキーワードのひとつが“相互性(ターンテイキング)”です。コミュニケーションでは、自分の番、相手の番と、交互にやりとりが進みます。赤ちゃんは言葉を話し始める前から、この相互性を自然に身につけていくと言われています。自分の発した言葉に、ママ・パパが反応してくれることは、赤ちゃんにはとってもうれしいこと。ママ・パパが応えてくれる! もっと伝えたい! という気持ちを大切に育んでいきましょう。
赤ちゃんが声を発したら、次はママが声をかける。すると、また赤ちゃんが声を出す。こうした繰り返しが、赤ちゃんのコミュニケーション力を育みます。
【0歳代】やりとり、つながっている雰囲気を大切にする。
□ 顔を見せて目を合わせてたくさん話しかける
□ 抑揚をつけてやさしく話しかける
□ 赤ちゃんが声を出す順番をつくる(反応を待つ)
□ 赤ちゃんが言葉を発したら、そのまままねをする
□ 絵本を読み聞かせる
言葉かけはとても重要ですが、言葉の量やバリエーションが豊富であることは0歳代の赤ちゃんにはそこまで重要ではありません。
それよりも、顔を見せ合い、順番に声を出し合い、自分と赤ちゃんのつながりを大切にしてほしいと思います。「ばあ!」や「や!」「ねえねえ」のような掛け声でこちらに注意を向けたり、「おふろ入ろうね」「気持ちよかったね」のような短いフレーズで気持ちや状況を言葉にするよう心がけたりしてみましょう。
読み聞かせには、下記のような、見開きのページに注目する要素が1つ、顔が描かれている、リズムや展開に繰り返しがある絵本がおすすめです。
『いないいないばああそび』きむら ゆういち(1988年)偕成社
『やさいさん』tupera tupera(2010年)Gakken
『「だるまさん」シリーズ』かがくい ひろし(2009年)ブロンズ新社
など
お子さんによって好みはいろいろなので、反応が引き出せそうなものを探してみましょう。そのときに反応があまりなくても、しばらく経ってまた読んでみると興味を持ってくれることもあるので、試してみてくださいね。
【1歳代】注目しているときにその場で話しかける。
□ 子どもがわかりやすく、言いやすい言葉でゆっくり話しかける
□ 「オノマトペ」を取り入れる
□ ものの名前を教えてあげる
□ 意識が向いているその場で話しかける
1歳代は「バナナ」「ぶーぶー」「わんわん」など、ものの名前や、擬音語などのオノマトペでの言葉かけを増やしていきましょう。そのとき心がけたいのは、お子さんが注目しているものの名前を、見ているタイミングで伝えることです。
たとえば、「ほらほら、ハトさんがあっちにいるよ~」と教えても、お子さんが見るときにいなくなっているのでは、言葉と対象が一致しません。お子さんがハトを追いかけているときに「ハトさんだね~! ハトさん、まてまて~」という感じで、見ているその瞬間を外さず、見ているものについて話しかけてあげましょう。
【2歳代】子どもが話したこと+ワンワードを目安に言葉かけ。
□ 子どもが話したこと+ワンワード程度の長さを心がける
「わんわん いるね」「おっきい わんわんだね」
□ 言い間違いを指摘しない
2歳代になると、ポツポツと言葉が出ている時期。ものの名前だけでなく、動きや様子を表す言葉の使い方も伝えていきましょう。
たとえば「わんわん」と言っているときに、お子さんが伝えたそうな言葉を1つプラスすることを意識すると◎。加えるのは、「かわいいね」「大きいね」「小さいね」のような様子を表す言葉。それから、「来たね」「おすわりしてるね」「走ってるね」のような動きを表す言葉です。
赤ちゃん言葉は使ってもいい?正しい言葉につながるの?

「赤ちゃんとのやりとりで、赤ちゃん言葉を使っても大丈夫でしょうか?」と聞かれることもあります。
結論から言うと、赤ちゃん言葉、大人の言葉どちらを使っても問題ありません。赤ちゃん言葉のことを“幼児語”といいますが、赤ちゃんにとって「いぬ」と言われるよりも、ほえている様子を表す「わんわん」のほうがイメージしやすくわかりやすいです。それから、音が2回繰り返されるので、口の動きも単純。うまく口が動かせなくて「わんわ」と言っても伝わりやすいでしょう。
コミュニケーションは、相手に受け取ってもらえて初めて成立するものです。幼児語には、お子さんの今持っている言葉の力で言葉のやりとりが楽しめるというメリットがあります。
赤ちゃんの幼児語を、無理に大人の言葉に修正するべきではありませんが、ママ・パパが、赤ちゃん言葉を使うのは恥ずかしい場合は、大人の表現を使っていいと思います。「まんま」ではなく「ごはんよ」と伝えても、そのときの状況をヒントに言葉を聞き、理解できるので、幼児語にこだわる必要はありません。
赤ちゃん言葉を大人の言葉に変換!赤ちゃん言葉早見表。
赤ちゃんに話しかけたいけれど、赤ちゃん言葉を知らない、という方も少なくありません。一覧を作ってみましたので、よかったら使ってみてください。
言葉には地域性があります。赤ちゃん言葉でも、たとえば、「座る」を北海道では「おっちゃんこ」、関西では「おっちん」と言ったりします。ハトがいる地域では「ポッポ」と言うけれど、ハトがいない地域ではハトの赤ちゃん語が存在しないことも……。そんな地域性があって当然ですし、まわりの人が話す、地域に根差した赤ちゃん語を使うのはよいことだと思います。
家族の呼び名
| ママ | まー、まんま、ま |
| パパ | ぱー、ぱーぱ、ぱ |
| おじいちゃん | じじ、じーじ |
| おばあちゃん | ばば、ばーば |
| おにいちゃん | にに、にぃに |
| おねえちゃん | ねね、ねぇね |
生き物の名前
| 犬 | わんわん |
| 猫 | にゃんにゃん、 にゃ、にゃあにゃ |
| ネズミ | ちゅー、ちゅーちゅー |
| 牛 | もーもー |
| ハト | ぽっぽ |
| ニワトリ | こっこ |
| 馬 | んま、おんま |
| 猿 | きゃっきゃ |
| カエル・ウサギ | ぴょんぴょん |
乗り物の名前
| 車 | ぶーぶー |
| 電車 | かんかん |
体の場所
| 足 | あんよ |
| 手 | てて |
| 目 | めめ |
| おなか | ぽんぽ、ぽんぽん |
食事
| おっぱい | ぱいぱい |
| ミルク | みーみー |
| ごはん | まんま |
| 麺類 | ちゅるちゅる、ちゅーちゅー |
| 食べる | ごっくん、もぐもぐ、あーん |
| 噛む | かみかみ |
| いただきます | いったー |
| ごちそうさま | ごっさま |
| おいしい | しー |
トイレ・お風呂・身支度・片づけ・睡眠
| おしっこ・トイレ | しー、しっし、ちっち |
| おふろ | たんたん、たーたー、ぼちゃ |
| お湯 | おぶ |
| 汚れる・汚い | ばっち |
| 清潔にする、洗う | きれいきれい、きれー |
| 片づける・捨てる | ないない、ぽい |
| 抱っこする | だー、だっだ |
| おんぶする | おんも |
| 寝る | ねんね |
おでかけ
| 歩く | あんよ、とことこ |
| 座る | えんちょ、えんこ |
| 立つ | たっち |
| 洋服 | べべ、おべべ |
| 靴 | くっく |
| ばいばい | ばー、ばばーい |
ママ・パパと赤ちゃんの日々のやりとりが赤ちゃんの言葉を広げる。
繰り返しになりますが、生活の中でのやりとりで、赤ちゃんの言葉は育まれていきます。活発な赤ちゃん、おっとりした赤ちゃん、いろいろな個性を見守りながら、お顔を見て、楽しく言葉を交わす時間を大切にしてくださいね。
写真/PIXTA イラスト/こつじゆい
【監修者】寺田 奈々
言語聴覚士。総合病院、プライベートのクリニック、専門学校、区立障害者福祉センターなどに勤務後、「ことばの相談室ことり」を開設。年間100症例以上のことばの相談・支援に携わる。専門は、子どものことばの発達全般、吃音、発音指導、学習面のサポート、大人の発音矯正。著書に、『0~4歳 ことばをひきだす親子あそび』(小学館)などがある。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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