貯金できない浪費家必見!FPが教える「これだけでOK」貯金術
「貯金をしたい気持ちはあるのに、全然お金が貯まらないのはどうして?」将来のことを考えて、貯金をしないといけないのはわかっているけれど、一向に貯まらない。まして将来に向けた投資や資産運用をするなんて無理。そんな悩みを抱えている20代~30代の方は多いのではないでしょうか。
『年収200万円からの貯金生活宣言』の著者でもある、ファイナンシャルプランナー(FP)の横山光昭さんによると、貯金ができない人にはいくつかの共通点があるそう。
20代でほぼ貯金ができていないライターが、横山さんから「これまでほとんど貯金をしてこなかった方に向けた、今からやるべきToDoリスト」を教えていただきました。
目次
貯金ができない人のあるあるNG習慣。
「貯金をしなければならない」と思っているのに、なぜかお金が貯められない。お金の使い方に以下のような特徴がある人は見直しの必要があるかもしれません。
貯金ができないNG習慣1:細かい出費が多い。
貯金ができない人は、細かい出費への意識が薄い傾向があります。「ラテマネー」とも言われる、500円以下の細かい出費は、少ない額だからとついつい見過ごしてしまいがちですが、ちりも積もれば山となります。
たとえば、毎日100円のものを買っていたとすると、年間で3万6,500円、10年では36万5,000円。これが1日500円や1,000円だったら……と考えると、長期的にはかなり大きな金額ですよね。
もちろん、買い物をすること自体が問題ではないんです。ただ、細かい買い物が積み重なっていくらになっているのかを把握していないまま使い続けてしまうと、なかなか貯金は難しいですよね。
貯金ができないNG習慣2:実行するまでに時間がかかる。
貯金するためには実行力が大切です。貯金が必要だと思ったときに、「とりあえず実行してみよう」とすぐに動きはじめる人は貯金ができます。
一方で、貯金ができない人ははじめるまでに時間がかかる人が多いです。私の事務所に相談に来た方の中にも、提案した内容をなかなか実行せず、しまいには「子どもの受験があって……」と結局貯金を断念しようとしてしまう方もいらっしゃいました。
――やらなくていい理由を探してしまうんですよね……。
そうなんです。一度ためらってしまうと、結局ずるずる先延ばしにしてしまいますから、最初の実行力が重要だと思います。
貯金ができないNG習慣3:結局「なんとかなる」と思っている。
ものすごく根本的な話になりますが、結局貯金をするにあたってもっとも大きな問題は「貯金が少なくてもなんとかなる」という気持ちなんです。正直、そう思っていませんか?
――思っているかもしれません……。
結局、本気で危機感をもてていない状況では、なかなか貯金はできません。老後の生活のためだとしても、若い人たちからすればまだまだ先のことですしね。
貯金は誰かに言われてはじめることでもないので、お金がないことで実際に自分が困るなど、実害が生じたタイミングで動きはじめるほうが、しっかりモチベーションを維持しながら貯金を続けやすいと思います。
ただ、実害が生じたわけではないけれど、ぼんやりと不安を感じるなら、収支を管理できる仕組みをつくって貯金していきましょう。
貯金ができない人は、この6つだけやって!
ここからは、今までほとんど貯金ができていなかったけれど、貯金をはじめたいという人に向けて、具体的な貯金術を教えていただきます。
横山さんによれば、以下6つが「これだけはやるべき!」というToDoポイントだそうです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
- ToDo1:まずはざっくりとした収支の把握を。
- ToDo2:ついつい使ってしまう費用だけ記録する。
- ToDo3:固定費を見直す。
- ToDo4:「必要なもの」と「欲しいもの」の線引きをする。
- ToDo5:「貯める」と「使う」で口座を分ける。
- ToDo6:収入から先取りして「貯める口座」に移す。
ToDo1:まずはざっくりとした収支の把握を。
まずは、自分の月々の収支をざっくりと把握することが大切です。毎月の収入の中でどのくらいのお金があれば生活できるのか、そして毎月どのくらい残っているのか、基本的な部分を知ることが大切です。
たとえば、ダイエットをするにしても、日々の体重を知らなければ痩せたのか太ったのかわからないですよね。貯金も同じで、ベースとなる平均金額を把握していないと今月は使いすぎているのか、少し節約ができたのかが判断できません。
貯金をしたいと思うなら、まずはざっくりでいいので自分の収支を確認するところからはじめましょう。
ToDo2:ついつい使ってしまう費用だけ記録する。
ざっくり収支を把握したら、次は何にいくらお金を使っているのか傾向を知ることも必要です。
そこでまずは「ついつい使ってしまう費目」だけ記録してみましょう。よくコンビニで細かい買い物をしてしまうならコンビニ代だけ、友達との外食や飲み会が多いなら交際費だけ、といった具合です。
――それだけでいいんですか!
はい。最初から家計簿をきちんとつけてすべてを把握するのは難しいですし、購入額を細かく残そうとすると結局面倒になってしまいますよね。だからまずは、よく使っている費目や支払いだけ追いかければOK。記録方法はノートや手帳、スマホのアプリ、クレジットカードとの自動連係が可能なツールやExcelなど自分が続けやすいもので構いません。
ポイントは、きれいに記録しようと思わないこと。自分さえわかればいいんです。よく使ってしまう部分を意識できれば、おのずと全体に意識が向くようになります。
記録を習慣化し、どのくらい使ってしまっているのかを把握できれば、「今回はやめておこう」と思う日を増やせるはずです。こうなればお金は自然と貯まっていくでしょう。
ToDo3:固定費を見直す。
支出には、「固定費」と「変動費(流動費)」の2つの種類があります。
固定費 | 毎月ほぼ一定額がかかるもの | 家賃・通信費(スマホ料金) など |
変動費(流動費) | 毎月かかる金額が変わるもの | 食費・日用品代・交際費・娯楽費 など |
支出を抑えようと思ったとき、多くの方は変動費を抑えることに目を向けがちですが、それには我慢が必要ですよね。そうすると、貯金に対するモチベーションがなかなか続かなくなってしまいがちです。
――我慢が続くとストレスも溜まりますし、貯金を挫折する原因になりますよね……。
そうですね。もちろん変動費もある程度はコントロールしていく必要がありますが、私は固定費に目を向けるメリットのほうが大きいと思います。はじめは面倒で着手しにくいけど、一度しっかり見直しをすれば月々の支出をグンと減らせる可能性があります。
あくまで自分が何を重視するかにもよりますが、やりやすいのは「通信費の見直し」です。上手にプランを選んで契約すれば、月々の料金を2,000円程度に抑えることもできますし、年間の支出にも大きな違いが出ると思います。
ToDo4:「必要なもの」と「欲しいもの」の線引きをする。
もう一方の支出である「変動費」をコントロールするために習慣化してほしいのが、「必要なもの」と「欲しいもの」を分けることです。
たとえば、特売で安くなっている洋服が目の前にあったときに「必要だから買うのか、それとも別に必要ではなくただ欲しいだけか?」を自分に問いかけてみるんです。それがただ欲しいだけのものだったならば、購入前にいったん考え直してみるといいかもしれません。
ToDo5:「貯める」と「使う」で口座を分ける。
口座が1つしかないと、使いすぎたのか貯まっているのか把握しづらくなります。そこで「貯める口座」と「使う口座」に分けましょう。
さらに「使う口座」には、自分が生活するうえで必要な生活費の1.5カ月分を入れておきます。月々20万円で生活している方を例にすると、30万円を「使う口座」に入れておくことになりますね。
ToDo6:収入から先取りして「貯める口座」に移す。
きちんと貯金をしていくためには、貯まる仕組みをつくることが重要です。お給料が入ったタイミングで貯金額を先取りして「貯める口座」に移す「先取り貯金」は、やはり確実に貯めることができます。
貯金すべき金額は、それぞれの生活環境や目標金額の有無などによっても変わりますが、もし現時点でほとんど貯金がない場合は、月収(手取り)の6分の1を目安に貯金していくことをおすすめしています。
――手取りで30万円の人の場合は5万円。なかなかキツそうな気も……。
そう、けっこうキツいですよね(笑)。ただ今後何かあったときのために、最低限の目安として月収(手取り)の6カ月分の貯金額は確保しておきたいところ。この貯金額は、手取りの6分の1を3年間貯め続けると達成することができます。
現状、特に明確な目標金額がないけれど不安だから貯金をはじめたいという方は、これを1つの目標にしてもらえたらと思います。
――たしかに、いざというときにまとまったお金がないと不安ですね。がんばって貯金をはじめようと思うのですが、続けるうえでのコツはありますか?
まずは3カ月(90日間)というタームで考えて取り組むといいと思います。1年間ずっとがんばり続けようと思うとしんどくなってしまうので、3カ月単位でどのくらいプラスになったのか、振り返りをするのがおすすめです。
「目安として手取りの6分の1を貯めましょう」とお伝えしましたが、毎月同じ額を貯め続けることは決して簡単ではありません。個人事業主の場合は毎月の収入にも変動がありますし、毎月均等な額でなくともこの3カ月の間で調整すればOK。肩の力を抜いて取り組んでみてください。
貯金ができないと将来どうなる?
では、20代~30代でまとまった貯金をせずにいた場合、今後どんな困り事が起こりうるのでしょうか。貯金を自分事として捉えていくために、聞いてみました。
やりたいことの選択肢が狭まる。
もっとも深刻なことは、ライフステージの変化などで何かしたいと思ったときにお金がなくて選択肢が狭められてしまうことではないでしょうか。
何かやりたいことがあったときに、お金が理由で諦めなければならないのはもったいないですよね。でも、その後悔した経験が貯金へのモチベーションになると思うので、後悔したことがある人ほど、ぜひ貯金をはじめてください(笑)。
老後の資金に困る。
――やはり老後の備えも若いうちからすべきなんでしょうか。
そうですね。というのも、若いうちは体力的な面も含めて、がんばって仕事をすれば生きていけるという「人的資本」のパワーが強い。ただ、歳を重ねるとそのパワーはどんどん落ちていきます。
そうなったときに、自分の生活レベルややりたいことを維持するには、貯蓄などの「金融資本」でカバーしていくしかない。その貯蓄を、定年を迎える前には確保しておかないと困ってしまいますよね。
ただ、若いうちに自分の老後について危機感をもつことはなかなか難しいと思うので、老後のためにと目標を置くよりは、貯金をしくみ化してコツコツ積み立てていくのがよいと思います。
「貯金ができない自分」から卒業しよう。
貯金をはじめたいなら、まずは「自分は貯金ができない」という先入観を取り払ってほしいという横山さん。
なかなか貯金ができない人の多くは、自分自身がそのハードルを上げてしまっているのかもしれません。
ひとつひとつのポイントで基本をていねいに押さえつつ、習慣化して自分ができる範囲で続けていく。
「今月は先月よりも少し多く貯められた」「ちょこちょこした買い物を減らせた」といった小さな成功体験を楽しく積み重ねていくことが、貯金成功のカギになるようです。
写真/Getty Images
横山 光昭
家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、これまでの家計再生件数は2万1000件を突破。各種メディアヘの出演・執筆・講演も多数。著作は150冊、累計351万部で、『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズは累計100万部を超えるベストセラー。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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