保育園は何歳から預けるのがベスト?保活や費用のこととあわせて専門家が解説。
「そろそろ保活(保育園に入るための活動)をはじめなくちゃ」と思っているけど、何から手をつければいいのか、そもそも何歳から預けたらいいのか、よくわからない……。そんな新米ママ・パパの方も多いのではないでしょうか。
「何歳から保育園に預けるといいか」「保育園に入園するまでの流れ」なども含め、保育園利用の基礎知識を、働く親世代の保活の悩みに寄り添ってきた「保育園を考える親の会」アドバイザー(顧問)・普光院亜紀さんに解説していただきました。
目次
- 保育園って何歳から預けられるの?
- 0歳~5歳で入園する、それぞれのメリット・デメリット。
- 経験者の声:わが家は○歳で入園しました。
- 保育園に預けるときのお悩みあるある。
- 保育園を利用するにはどうしたらいい?
- ママ・パパが知りたい、保育園入園前後の疑問。
- 【まとめ】人気の保育園は0歳児クラスを狙うと入りやすい。
保育園って何歳から預けられるの?
法的には、0歳から預けることが可能です。認可保育園へ応募するには保護者が就労していることが主な条件となりますが、労働基準法では「出産の翌日から8週間(56日間)、女性は仕事に復帰できない」と規定されています。そのため保育園に子どもを預けられるのは「生後57日以降」が基準となります。
参考:厚生労働省 都道府県労働局「働きながらお母さんになるあなたへ」(2022年)
参考:こども家庭庁「よくわかる『子ども・子育て支援新制度』」(参照:2024年7月23日)
ただ実際は、園によってさまざまです。産休明けの生後57日、生後2か月~3か月、生後5か月~6か月、1歳など、受け入れ開始の月齢・年齢は園によって違います。
東京都を例にあげると、私立保育園では、産休明けすぐから預かってくれるところが増えている印象を受けます。一般的に受け入れ開始の月齢・年齢は、「私立が早め、公立が遅め」という傾向が見られます。
0歳~5歳で入園する、それぞれのメリット・デメリット。
保育園に何歳で入園するといいのかは、園の受け入れ月齢・年齢、保護者の職場の状況などによって1人ひとり事情が異なります。ここでは、ある程度入園時期が選べると仮定して、0歳・1歳・2歳・3歳以上と、入園する年齢それぞれのメリットとデメリットを表にしてみました。
※ 何歳児クラスに入園するかは、入園する年の4月1日時点での子どもの年齢による。
経験者の声:わが家は○歳で入園しました。
ここで、0歳児クラスと1歳児クラスに入園させた2人の先輩ママの声を、ミラシル編集部からご紹介します。保育園に入園させた年齢について、よかったこと・悪かったことがあるかを教えてもらいました。
0歳児クラスから入園。
4月入園でしたが、うちの子は4月生まれなので入園して1か月で1歳に。1歳11か月まで0歳児クラスにいたことになります。
0歳児クラスは園児3人に対して保育士さんが1人なので、すごく手をかけてお世話してもらえて、ちょっとお得感がありました。それに慣れてしまったこともあり、3歳児クラスになってから、保育士さんが1人で大勢の園児を見るようになって、うちの子はかまってもらえなくなりショックを受けていました。
1歳児クラスから入園。
離乳食初期から後期まではよく食べてくれていたのに、1歳で離乳食完了期になるとイヤイヤ期になって野菜とかはまったく食べてくれなくなりました。
そんなときに保育園に入園。園に慣れると、連絡アプリの給食のところには毎日完食マーク。家では朝晩の食事は相変わらずイヤイヤ、ペッなのに……。保育園では子どもなりにがんばってくれているんだなと思いました。お昼はちゃんと食べていると思うと、家では少しぐらい偏食でもいいか、と気が楽になりました。
保育園に預けるときのお悩みあるある。
「まだ小さいのに、保育園に預けられて親と離れるのはかわいそう」と聞いて悩んだり、あるいは「早い年齢から預けるのは寂しい」と感じたりするママ・パパもいるでしょう。これらの悩みにどう向き合うか、アドバイスできればと思います。
「保育園に預けるのは子どもがかわいそう」という人がいるけれど、実際どうなの?
しっかりとした保育を行っている園ならば、「小さいうちから親と離れてかわいそう」な状況になることはありません。
園庭など遊べる場所があって、ほかの子どもや複数の大人とかかわる環境は、刺激があって心身の成長にとてもいい影響があります。
母親と子どもが家の中で孤立して密着している状態を「母子カプセル」と言います。乳幼児期に親子がふれあって愛着関係を築くことは子どもの発達に必要なことですが、「母子カプセル」では子育てが苦しくなってしまいがちです。かつての大家族や地域関係が親密だった時代を考えれば、保育園のように親以外の大人がいて、子ども同士のかかわりがある環境は、子どもにとって自然な環境と言えます。
「早い年齢から子どもを預けるのは寂しい」という気持ちにどう向き合えばいい?
「早い年齢から預けるのは寂しい」という気持ちになる人は多いと思います。
でも、子どもは成長するにしたがって親から離れていくもの。保育園に行って保育士さんやほかの子どもたちとかかわることで、子どもは少しずつ世界を広げていきます。「寂しいかもしれないけれど、これを乗り越えていくことが子どもと親の両方にとって必要なことだ」と考えてみてはいかがでしょうか。
保育園を利用するにはどうしたらいい?
保育園を利用すると決めたら、保活スタートです。まずは役所の保育担当窓口に行って、自分の住んでいる地域にどんな保育施設があるかリサーチすることからはじめましょう。
認可保育園入園までのおおまかなスケジュール。
自治体が管轄する認可保育園の入園募集は、年度末を除き、空きがある園・クラスについて毎月行われていますが、進級がある4月が最も入園しやすい時期です。4月入園の入園申し込みは前年の10月~11月に行います。
それまでに入園希望の園を決めておかなくてはいけないので、情報収集や園の見学は8月か遅くても9月までに終えておきましょう。「見学の時期は、子どもがまだ小さくて外出しづらいな」と感じる方は、妊娠中から見学に行ったほうがいいかもしれません。
申し込みの結果の発表は1月~2月ごろになります。
取材をもとにミラシル編集部で作成
年度始まり以外に入園する場合は?
育休が終わるタイミングや就労が始まる時期によっては年度途中から入園させたいこともあるでしょう。クラス定員に空きがあればいつでも途中入園は可能ですが、満員の場合は空きが出るのを待つことになります。
早生まれの子どもは多くの場合、0歳児クラスへの途中入園を目指すか、4月からの1歳児クラスの入園を目指すことになります。後者の場合、1歳児クラスの競争率が高くなっている園も多いので、つなぎとして認可保育園以外の施設を探したり、育休を延長したりするなど、「不承諾」になった場合の対策を考える必要があります。
保育園を見学する際のポイントは?
保育園は、子どもが長時間過ごすことになる重要な場所です。必ず見学に行って、信頼できる園だと納得したうえで、入園希望を出しましょう。一般的には、「電話かウェブサイトで見学を申し込み、園側から見学の日時を指定される」という流れになります。見学の際は、あらかじめチェックリストや質問事項を作っていくと、見落としや確認し忘れが防げるでしょう。
ママ・パパが知りたい、保育園入園前後の疑問。
「入園申込書は出した。あとは結果の発表を待つだけ」となれば一段階クリア。でもまだ入園が決まったわけではありません。保育料の問題や、もし落ちた場合どうするか、に備えておきましょう。
保育園に入園したあとの費用はどれくらいかかるの?
認可保育園の0歳児~2歳児クラスの保育料は、お住まいの地域や世帯の所得などによって大きく異なります。そのため「わが家の場合いくらかかるのか」を、自治体のホームページなどでしっかりと確認しましょう。
認可保育園の3歳児クラス以上の保育料は、「幼児教育・保育の無償化(幼保無償化)」制度があるので、無料となります。
参考:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要」(参照:2024年7月10日)
認可外保育園の利用料は、各施設によって異なります。
保育園に落ちてしまったらどうする?
多くの自治体では、事前に自分の「利用調整指数」(保育の必要度を点数にしたもの)がどれくらいかを調べて、入園できる可能性が高いかどうかを予測することができます。保育園に落ちるかもしれないと思ったら、あらかじめ落ちたときの対策を考えておきましょう。
最初の選考に落ちても二次募集があるかもしれません。落ちてからあわてて見学に行かなくてすむように、あらかじめ手広く見学をしておくことが大切です。
認可保育園以外にも、認可を受けた保育事業として、主に0歳児~2歳児を対象にした「家庭的保育事業」「小規模保育事業」というものもあります。また、認可外保育園は、自治体が行う募集や選考とは関係なく申し込みを受け付けています。これらの施設も検討してみるといいかもしれません。
参考:こども家庭庁「子ども・子育て支援新制度ハンドブック(平成27年7月改訂版)」(参照:2024年7月2日)
【まとめ】人気の保育園は0歳児クラスを狙うと入りやすい。
保育園に何歳から入園するのがいいかは、ママ・パパの考え方、希望する保育園の受け入れ月齢・年齢、職場の状況などの要素がからみ、各家庭によって異なってきます。希望する園の競争率が高そうであれば、0歳児クラスからの入園を検討するのも1つの手です。
納得のいく保活ができるよう、ぜひ早めに情報収集をはじめてください。
写真/PIXTA
【監修者】普光院 亜紀
保育園に子どもを預けて働く親のネットワーク「保育園を考える親の会」代表を経て、現在はアドバイザー(顧問)として活動。保育ジャーナリストとして執筆・講演も行っている。著書に『後悔しない保育園・こども園の選び方』(ひとなる書房)、『不適切保育はなぜ起こるのか』(岩波新書)など。
※ この記事は、ミラシル編集部が取材をもとに、制作したものです。
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